「安倍一強」の政界の中で、引退した老政治家たちが異彩を放っている。
山崎拓・元副総裁(78)や亀井静香・元政調会長(78)ら自民党OBが共同記者会見を開き、「安倍総理の憲法解釈変更は、自らの名誉心を満たすためのものだ」と安保法制反対の怪気炎をあげた。
自民党の“AMK(青木・森・古賀)”トリオも健在だ。古賀誠・元幹事長(75)は総裁選で安倍首相の対抗馬擁立に奔走。青木幹雄・元参院議員会長(81)はいまも参院自民党に隠然たる影響力を持ち、森喜朗・元首相(78)は新国立競技場問題などで、“老害”と批判されてもどこ吹く風だ。
元気すぎる老政治家は他にもまだまだいる。学生団体SEALDsが9月6日に東京・新宿で開催した安保法制反対の集会に、与党OBの姿があった。ひ孫ほど歳の離れた学生たちと肩を並べたのは元公明党副委員長、元運輸相の二見伸明氏(80)だ。
「(公明党の支持母体である)創価学会の会員の力で、公明党を正気に戻さないといけないんだよ。だからシールズのデモにも参加した。この法案を止めるために、一番効果的な方法が何かわかる? それは学会の中枢幹部がこの法案の危険さをよく学んで、公明党に圧力をかけることですよ。学会員の動きは広がってる。先日、私が呼び掛け人になった安保法制反対集会では、(創価学会の)三色旗が5本立ったんだから」
もはやタブーも何もない。“ムーミンパパ”の愛称で知られる武村正義・元官房長官(81)も精力的に活動している。
「私も81歳ですから本来なら口出ししたくないけど、じっとしていられない。安保法制の話なら、頼まれればどこにでも行きますよ。先日も地元の滋賀で講演しました。
今の自民党の若い人は不気味なくらい上の言いなりになっている。私は自民党時代、竹下(登)総理のやり方に納得いかず『総理、辞めてください』と詰め寄ったものです。それぐらい自由闊達にものがいえたのに、今は議論が封じられている」
同様の不満を“黄門様”として親しまれた渡部恒三・元衆院副議長(83)も語っている。
「国会議員の諸君にはね、もっと国を想う情熱を持ってもらいたいな。今の人たちは知識もあって優秀なんだけど、サラリーマン化していて党の言いなり。反主流派がいなくなってしまったね。
吉田茂の時代だってワンマン体制だったけど、その時ですら石橋湛山(元蔵相)とか、大野伴睦(元衆院議長)とかが“吉田くん”なんていっていた。今、“安倍くん”なんて怒る人はいないでしょう」
※週刊ポスト2015年9月25日・10月2日号