中国バブル崩壊のもたらす影響は、経済的な側面にとどまらない。かつて警視庁で北京語通訳捜査官を務め、中国人犯罪に詳しい坂東忠信氏は、「経済難になると、日本に不法に押し寄せる中国人が激増する懸念がある」と指摘。他人の身分証明書を用いて中国の公的機関に旅券申請して日本に入国する「なりすまし」も横行しているという。本来は日本に入国できない人物がそこらへんを歩いているのだ。坂東氏が解説する。
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「日本は難民に厳しい」というのはあくまで机上の話だ。日本の難民申請は厳格とされ、2014年中の日本への難民認定申請者5000人のうち認定者はわずか11人だが、実は大きな抜け穴がある。
日本の難民認定システムは一旦却下されても、異議を申し立て再申請すれば改めて審査する間、滞在を認められる。しかも難民申請の審査には通常、半年~1年ほどかかるが、申請から6か月で就労が可能になり、堂々と働けるのだ。
その「裏ワザ」が知られたのか、現在、難民申請件数、異議申し立て件数とも急増している。2014年に初回申請で難民認定が却下され、異議申し立てをした者は2533人で1972年以降、最多となった。
大量の経済難民が発生すれば、人権派団体が騒ぎ立て、日本は審査待ちの難民であふれだす。そんな「なりすまし」や経済難民が増えたらどうなるか。
彼らは親族や近親者を拠点とし、家賃を安くするため単身者用のアパートに数人が一緒になって住み着く傾向にある。他の日本人が居づらくて退居すると、その空き室に他の中国人がこぞって入居し、たちまち中国人コミュニティができあがる。
すでに、一部の中国人コミュニティではゴミの分別などで近隣トラブルが起き、そのエリアは拡大しつつある。経済難民が大挙して訪れるようになれば、住宅や店舗でトラブルがあっても不法滞在者が絡むので警察を呼ばず、地域の中国人有力者が問題を解決するようになるだろう。そうして、日本に中国の自治エリアが誕生するという恐ろしい事態につながりかねない。
地方はさらに深刻だ。都市と違い警察官の数が少なく、犯罪の端緒をつかめない。また、車を中国人同士でシェアして乗り回すため、所有者と運転者が違うケースが発生している。交通事故を起こしても保険に加入していないために、被害者は「轢かれ損」だ。
日本政府は犯罪検挙数が多い国からの入国を制限するなど、法的措置を真剣に検討すべきではないか。中国が崩壊し、経済難民や「なりすまし」に日本を乗っ取られてからでは遅すぎるだろう。
※SAPIO2015年10月号