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58才のヒーローが活躍する痛快で物悲しい漫画「いぬやしき」

【マンガ紹介】『いぬやしき(4)』/奥浩哉/講談社/637円

 フーッ。今1巻から読み返し終わったんですが、息が詰まっておりました。バリバリの男子SFマンガなので読み慣れないかたもいらっしゃるかもしれませんが、この興奮をぜひ味わっていただきたく!

 家族からは邪険にされ、しかも末期の胃がんと宣告された58才の(でもおじいちゃんに見える)犬屋敷。だが、公園で宇宙船らしきものに遭遇したことで、機械の体を手に入れる。遠くにいる人の助けを呼ぶ声を聞きつけ、背中の装置で空を飛び、必要とあらば腕から銃弾を乱射する。しかもけがや病気、死んだ人さえ回復させる力があって…。

 犬屋敷の敵となる男どものあまりの凶悪ぶりと、苦しめられる人々のあまりの善良さ、ようやく妻とやり直せそうなホームレスを虫ケラのように襲う高校生集団、婚約者とつつましく暮らす女性をクスリ漬けにしておもちゃのように使い捨てようとするヤクザ…に、こちらの心拍数は急上昇を続けます。そこに、どう見ても弱々しいおじいちゃんヒーロー・犬屋敷が、不恰好に夜空を舞い、登場! 屈強な男どもに立ち向かい、ヘロヘロパンチでぶちのめす!! その姿が痛快で、しかもほんのり物悲しいのがたまりません。

 最新4巻から、犬屋敷と同じ力を悪事に使う男子高校生というさらなる凶悪な敵との闘いに発展。直接対決はまだですが、こちらも既に戦闘モードです。いけーっいぬやしき!!

(文/門倉紫麻)

※女性セブン2015年9月25日号

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