最強を謳われながら、V9時代の面影はまったくない巨人。野村克也氏と江本孟紀氏、黄金時代の巨人を知る、南海ホークスの伝説のバッテリーが急遽集結し、今の原巨人の病巣を突くとともに「複数年契約」の弊害について語った。
──今年のセ・リーグは、ヤクルト、阪神、巨人で一進一退が続いています。かつてのように巨人が圧倒的に強いとはいえません。
江本:巨人はチーム防御率が良いから辛うじて戦えているだけです。昨年いなかった外国人と新人で、結果的になんとかなっているだけ。いなければ最下位です。
野村:強さには「絶対的な強さ」と「相対的な強さ」の2つがある。江本がいうように今の巨人は相対的な強さですね。相手と比べて強いだけ。V9時代のような絶対的な強さはない。
江本:ヤクルト、阪神も強いとはいえない。貯金が15ぐらいあって初めて強いといえるが、阪神は7、ヤクルトが5(9月9日時点)。なんと低レベルな戦いか。
── 一応阪神が首位(注・対談時)ですが、和田(豊)監督にはファンの不満が多いようです。
野村:和田ねェ。声も忘れたな。
江本:あいつは喋らんから(笑い)。まァ、昔と比べて監督の力が落ちてきていますね。
野村:監督不在の野球だね。
江本:選手にも問題ありますよ。主力の多くが複数年契約で、成績が落ちても年俸が下がらない。数億円もらっていても、成績は3000万円の選手並みですから。ダメなら年俸を下げないと危機感が出ませんって。
※週刊ポスト2015年9月25日・10月2日号