中国の首都・北京では3日、抗日戦争勝利70周年などを記念した大規模な軍事パレードが行われたが、パレードと時期を合わせるように、日中戦争当時の戦場や抗日記念館など100か所を国家級記念施設及び旧跡に指定していたことが分かった。中国当局は民衆を動員して、これらの施設見学に動員をかけるとともに、一時的に抑制的だった対日批判が再び高まることが予想される。
中国共産党機関紙「人民日報」によると、これは中国国務院(政府)が8月下旬に発表したもので、記念館などは北京の「平西抗日記念館」や河北省の「晋冀魯豫抗日記念館」、山西省の「抗日五専署旧跡」など中国の22省・5自治区・4直轄市・2特別行政区すべてを網羅しており、今後は小中学生らを中心にした市民による見学・視察を中心に、愛国主義運動が本格化するという。
さらに、満州事変のきっかけとなった1931年9月18日の柳条湖事件を記念した「九・一八歴史博物館」では抗日戦争関連の展示物を大幅に増やし盛大に記念行事を行うほか、他の既存の記念館でも順次、同様の行事を実施する予定だ。
習近平主席は7月30日、中国共産党の最高幹部会議で、抗日戦争の偉大な意義に関する研究を一層発展させ、世論に対する宣伝工作を強化し、柳条湖事件以降の抗日戦争の歴史研究を進めることを指示。新たな愛国主義キャンペーンは抗日戦争記念日である9月3日の軍事パレード以降、9月18日の柳条湖事件や、台湾の日本統治終了記念日である10月25日の台湾光復記念式典、12月13日の南京大虐殺記念日の諸行事など節目、節目に行うことにしている。
この大きな眼目になるのが今回指定された100カ所の国家級記念施設及び旧跡で、抗日戦争時の大規模な交戦地区など、国民党軍による軍事拠点を中心に愛国拠点が新たに設置される見通しだ。すでに、大部分の建設工事が進められている。
このほか、当時の兵士による座談会や党幹部らによる老兵士慰問、記念出版物や記念切手の発行など、さまざまな行事が予定されている。
「習氏としては『抗日』をキーワードとした愛国キャンペーンで、国民の支持を拡大し、党や軍内の権力掌握を確実にしたいとの思惑が働いているのは明らかだ」と党幹部は指摘する。