「世界の出来事を独自の見解で読み解く刺激的金融ブログ」と謳う金融情報サイトの『日刊闇株新聞』は、金融関係者や個人投資家も熟読するほど注目されている。
2010年にスタートした『闇株新聞』は株や為替などの経済情報だけでなく、経済事件や騒動の内幕にも舌鋒鋭く迫る無料ブログだ。
発行人のA氏は、取材から毎日更新される記事の執筆まですべて一人で行なっているというが、8月中旬以降の「世界同時株安」をA氏はどう見ているのか。
「世界株安の二大要因は中国市場の下落と米FRB(連邦準備制度理事会)による金融引き締めの観測です。しかし、中国の統計がウソの上塗りであることは以前からわかっていたし、FRBは1年も前から利上げに言及している。8月上旬に日経平均は2万円を超えていたが、その時と現在の基本的な状況は何も変わっていません」(A氏)
世界を混乱に陥れた株の乱高下は「市場と投資家の心理」が変化したことが主因だとA氏は強調する。
「これまで中国や米国当局の政策を“きっと大丈夫”と安心して眺めていた市場と投資家の心理が、“本当に習近平(国家主席)やイエレン(FRB議長)に任せておいていいのか”に変わった。日本でもアベノミクスと黒田日銀総裁の金融政策への信頼が不安に変わりつつある。この状態で実際に株価が下がるとパニック売りになる。この悪循環が世界株安を招いている」(A氏)
そうした要因を理解すれば、「処方箋」や「勝負時」は自ずと見えてくる。
「各国は市場と投資家の不信感を取り除けばいい。これまでの市場介入や投資家規制といった中国の小手先の対策は逆に投資家の不信を買ってしまった。
思い切った金融緩和が必要です。米国は金利を上げる時期を正式に発表して、投資家に心の準備をさせるべきだ。煮え切らない態度が問題だっただけで、そもそも利上げ自体が悪いわけではない。
市場と投資家の疑心暗鬼を解き、“もう大丈夫”と思わせれば株価はやがて戻る。個人投資家は株価の乱高下に動じるのではなく、政府による大きな発表のタイミングを待つべきです」(A氏)
※週刊ポスト2015年9月25日・10月2日号