北関東・東北を襲った記録的な豪雨によって、9月15日現在、死者数は7人、避難者数は5600人を超えている。同時に建物へも甚大な被害が及び、鬼怒川の堤防が決壊した茨城県常総市では、自衛隊のヘリコプターで救助された“電柱おじさん”こと坂井正雄さん(64才)の自宅が、元あった場所から1km以上流されて発見されるなど、浸水による損害を受けた建物は1万1000棟にのぼった。
「天災は忘れた頃にやってくる」ということわざがあるが、「忘れるヒマがないほど天災が起きている」というのが昨今の日本列島の印象だろう。実際、地球温暖化などの影響で「ゲリラ豪雨」等の水害は増す傾向にある。大切なマイホームや財産をどうしたら守れるのか。その有効な手段の1つが「保険」だ。ところが普段はあまり意識する機会がないため「家の保険」についてはほったらかしのままという人も多い。ここで今一度、保険の基本をおさらいしておこう。
まず、突発的な自然災害や事故で「建物」や「家財」が受けた損害を補償するのが「火災保険」だ。ファイナンシャルプランナーの清水香氏が解説する。
「火災保険というネーミングから火事の損害に対する補償だけだと思われがちですが、風災や雹災、雪災、落雷といった自然災害による被害でも補償を受けられます。
ですが、“それで安心”とはいきません。今回起きた洪水や土砂崩れは『水災』が付加されていればカバーできますが、すべての契約にセットされているわけではありません。その場合、今回のような浸水や倒壊などは一切補償されません。自分が加入している火災保険がどの損害をカバーしているかを改めて確認しておきましょう」
保険の対象物も要チェック。火災保険では「建物」と「家財」の補償は別契約になる。「建物」は、家そのものに加えブロック塀、車庫、瓦といった建物に付随するもののこと。一方の「家財」は電化製品や家具、衣類などの生活用品のことで、それぞれ補償が受けられる最高額を設定して保険に加入する。
火災保険に加入する際には、対象物が「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」の3種類から選ぶのが一般的。せっかく「水災」をカバーする保険に入っても、対象物が「建物のみ」だったら、洪水などの被害にあっても家財は補償されない。
さらに注意すべきは、保険金の算出方法により補償額が大きく異なることだ。ファイナンシャルプランナーの平野雅章氏はこう話す。
「現在の保険では、『再調達価額』といって、新たに家財や建物を購入する際に必要な金額が保険金として支払われます。例えばテレビなら、10年前に購入したものでも、同程度の機能をもった新品のテレビの購入費が受け取れます。
一方、古いタイプの保険、特に1998年以前に契約した場合、建物や家財の評価方法は“時価”がほとんど。つまり中古品としての価値で、長く使っている家財は価値が低く、受け取れる保険金も少なくなります」
保険の内容とともに、契約時期も確認したい。
※女性セブン2015年10月1日号