かつての清原和博も含め、球界では多くの選手が「巨人愛」を語った。だからこそ、巨人ファンは「プロ野球選手はいつかは巨人でプレーしたいはず」という思いを抱いている。巨人ファンに話を聞くとヤクルト・山田哲人やソフトバンク・柳田悠岐までもがいつかは巨人に入るはずだ、と信じている人もいた。
そして、数年先より目先の算段。今オフにも現実のものとなりそうな移籍リストとなると、さらに自信をにじませる。そのターゲットとなるのは、今季パ・リーグでダントツの強さを見せるソフトバンク勢だ。
●松田宣浩(32・ソフトバンク)
今年のFAの目玉。巨人の獲得参戦で2億2000万円(推定)の年俸が跳ね上がることが予想される。
「来季の巨人はサードの村田修一をファーストに回して阿部と競争をさせる方針。サードにはルーキー・岡本和真がいるが、彼はまだ守備が不安。それに育てる気なら今年から村田を外して起用したはず。松田の移籍を意識していることは間違いない」(スポーツ紙デスク)
ファンも松田を歓迎する。「ホークスの4番が巨人に移籍するのは小久保(裕紀)の例がある。小久保が巨人に来たのも同じ33歳だった」とか、「代わりに村田を福岡に返してあげよう(村田は福岡出身)」
と、もう獲った気でいる。
●内川聖一(33・ソフトバンク)
SBにはまだ目玉がいる。最強の右打者との評判が高い内川だ。横浜からFA宣言した2010年時、実は巨人入り濃厚といわれていた。
「フジテレビのアナウンサーだった奥さんの影響もあって、在京志向が強いとされていた。ただ巨人は手を挙げなかった。当時、同じポジションに小笠原(道大)やラミレスといった戦力がいたからです」(前出・デスク)
だが状況は変わった。
「ここで声をかければ動くのではないか」──ファンは勝手な自信を覗かせる。
●攝津正(33・ソフトバンク)
今季、巨人は投手陣がチームを支え、なんとか上位に踏みとどまっている。だがこれは外国人と新人の活躍があった「結果オーライ」でしかない。当然、投手の補強が必要となる。
その点、今季FA権を取得する見込みの攝津は、4年連続2桁勝利と実績十分。しかも巨人にとっては追い風が吹いている。
「成績が下降気味のため、単年契約しか結んでもらっていない。本人は非常に不満らしい。カネで勝負できるのは強み」(球界関係者)
そして理解者の存在。
「攝津は球界きっての釣り好きだが、巨人には同じく釣りを趣味とし、ホークスの先輩でもある杉内がいる。以前テレビ番組で共演した際、杉内が“魚は攝津を知らない。だから真剣勝負ができる”などと語り、攝津が同意するという、凡人には理解できない意気投合ぶりを見せていた」(同前)
再びホークスのエース獲得となるか。
※週刊ポスト2015年9月25日・10月2日号