「日本人の7~10人に1人はめまいを自覚していると言われていますが、その多くは原因が解明されていません。しかもめまいを訴える患者さんの約6割が頭痛を抱えているのです」
そう話すのは、大阪市にある入野医院の入野宏昭院長である。入野院長は耳鼻科のみならず総合的な知見でめまいを診断してきた結果、治療のカギは「首」にあるとの考えに至ったという。
「首には脳に酸素と栄養を送る重要な血管や自律神経が通っています。なかでも椎骨脳底動脈は平衡感覚を司る器官や脳に血液を送る血管で、首のコリなどが原因でこの動脈の血流が悪化すると、めまいや耳鳴り、頭痛などが起こると考えられます」(入野院長)
近年では高齢者もパソコンやスマホの使用頻度が高くなり、「首コリ」によるめまいや頭痛に悩まされる人はますます増えているという。そこで入野院長が健康雑誌『健康365』10月号(H&I)で提唱したのが、「バンザイ三唱」だ。
「両腕を耳に近づけて背筋を伸ばし、手を天井に向かって伸ばしながら、ゆっくりと3回バンザイする。深呼吸しながら行なうことで、肩甲骨の筋肉がほぐれ、首コリが解消されます」(入野院長)
そして同誌にはもうひとつ、「首裏マッサージ」も紹介されている。
「首の後ろにある“天柱”のツボを左右の親指で押しながら、4~5秒ほど円を描くようにマッサージする。首コリがほぐれて血流が改善されます。ただし、強く押しすぎると筋肉が挫滅してしまうので、“ちょっと痛いかな”程度にしてください」(入野院長)
パコソンを長時間扱う仕事でめまいと頭痛に悩まされていた50代男性も、「バンザイ三唱」と「首裏マッサージ」で症状が改善したという。
※週刊ポスト2015年9月25日・10月2日号