全国的な知名度が低い滋賀県。認知度アップを目指して「近江県」との改名案までもが飛び出す状況だ。
2006年から8年間にわたって滋賀県知事を務め、現在はびわこ成蹊スポーツ大学学長を務める嘉田由紀子さん(65才)はこう語る。
「私は関東の埼玉県出身ですが、修学旅行の時に琵琶湖と比叡山の魅力に取りつかれて関西の大学を選び、滋賀県に深く魅了されてきました。県知事時代にも“滋賀県・琵琶湖のブランド化。自信を持って発信しよう”という政策をかなり強力に進めました。
ところが、肝心の滋賀県民自身がその価値に気づいていない。それゆえ滋賀県の良さを自ら発信していないように感じます。これから滋賀県を全国に認めてもらうには、イギリスの湖水地方を参考に、“日本の湖水地方”として琵琶湖周辺の風景や暮らしぶり、食文化などをストーリー化し、“祈りと暮らしの水遺産”として広めていくことが大切だと思います」
滋賀県の周りには、京都や大阪、奈良といった“強豪”府県(奈良については、どっちがマイナーか、県民によって意見の割れるところ)も多く、それらに埋もれている実態もある。それに対して、15才まで滋賀県で暮らしていた尾木ママこと教育評論家の尾木直樹さん(68才)はこう提案する。
「京都に比べて…なんて言っていちゃダメ。今はグローバルな社会なんだから、国内の知名度なんかほっといて、インターネットで滋賀県のいいところを世界に発信していけばいいんです。できれば子供たちの意見を取り込んで、滋賀を発展させてもらいたいですね」
出身者のみなさんは、知名度の低さを嘆きつつも、やっぱり“滋賀県愛”は揺るぎない。高校卒業まで滋賀県にいたテツandトモのテツ(45才)はこう話す。
「滋賀県でお笑いライブをさせてもらうと、すごく笑って盛り上がっているという感じではないけれど、最後までちゃんと見てくれます。終わった後も『頑張ってね』と温かい言葉をかけてくださったり。そういう意味でも真面目な県民性なんですね」
21才まで滋賀県で育った落語家の桂三度はこうアピールする。
「歴史があって、琵琶湖、近江牛、近江米など素晴らしいものがたくさんあるのに強くアピールしない。だから知名度が低いのは仕方がないし、ガツガツしない県の特色がとても好きです。滋賀県民は奥ゆかしい!」
※女性セブン2015年10月1日号