老舗の芸能プロダクションのひとつ、太田プロダクション。有吉弘行、土田晃之、ダチョウ倶楽部といったお笑い芸人から指原莉乃らAKB48グループの人気メンバー、前田敦子、高島礼子といった女優まで所属している。今、テレビ界では太田プロのタレントなくして番組は成立しないとまで言われるほど影響力の大きいプロダクションのひとつだ。太田プロのタレントがこれだけ活躍できるのはなぜか? そして太田プロらしさとは? テレビ解説者の木村隆志さんが分析する。
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上島竜兵とのキス芸を披露した元AKB48の野呂佳代が絶賛されています。それまで「アイドルとしてもタレントしてもパッとしない」と言われていた野呂の株が急上昇したのは、まぎれもなくダチョウ倶楽部の力によるものでしょう。実際、ダチョウ倶楽部のキス芸は、情報番組で使われることが多いため、イベント関係者を喜ばせているだけでなく、共演したタレントたちを輝かせています。
では、ダチョウ倶楽部の何がスゴイのでしょうか? それは「一周回って面白い」ネタであり、そう思わせるまでやり続ける力です。ダチョウ倶楽部のネタは単純で、老若男女を問わず誰もが再現可能な「お約束」ばかり。それを30年もやり続けている上に、最近は他のタレントを巻き込めるようになっているのですから、「一周回って面白く」なっているのでしょう。
実はその「一周回って面白い」は、ダチョウ倶楽部の所属事務所である太田プロらしさとも言えます。どん底時代の長かった有吉弘行も、土田晃之の人の揚げ足を取るような話芸も、「一周回って面白い」。あるいは、おかもとまりの迷走グラビア、ネイチャージモン、つるの剛士の将棋キャラなどの「一周回らなければ面白くない」仕掛けも多く、他の事務所は絶対にやらないものとも言えます。
だからこそ太田プロの象徴は、「一周回って面白い」を何周も回ってきたダチョウ倶楽部であり、今回の野呂も「一周回って面白い。一周回ってかわいい」と思わせる、太田プロのタレントらしいチャンスをつかんだのでしょう。また、AKB48グループの所属タレントでは、指原莉乃が「一周回ってかわいい」と言われはじめています。その意味では、厳しい声の多い前田敦子も「一周回って演技がうまい」と言われる日が来るかもしれません。