歴代最多35回の幕内優勝。史上最強力士の呼び声も高い横綱・白鵬(30才)に異変が起きている。
九月場所で初日から2連敗を喫した白鵬は左膝周辺の故障で休場した。これは2006年の九州場所以来、9年ぶりのことだ。師匠の宮城野親方は「次の九州場所(11月)で復活を目指す」と言うが、周囲の見方は厳しい。
「長く綱を張ってきた横綱の休場は、他の力士のそれとは違います。緊張感が途切れることで以前のような相撲が取れなくなる。大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花…負け知らずだった歴代の大横綱も、ふとした休場をきっかけに一気に力を落とし、引退への道を加速させました。最近の白鵬は想定外の流れになるとはたき込みや引き技を繰り出すようになり、全盛期の力強さを感じられなくなってきています」(ベテラン相撲記者)
翌場所の結果次第では「引退」の2文字もちらついてくる。だが白鵬には絶対に土俵から下りられない重大な理由があるという。
「それは引退後の“親方問題”です。かねてから白鵬は周囲に『夢は銀座に部屋を持つこと』と話しています。すでに彼には4人の内弟子もいて、今も自分で稽古をつけている。関取の石浦(25才)や一昨年春場所に初土俵を踏んだ谷川山(17才)などです。でもこのままでは白鵬は親方になれないのです」(相撲協会関係者)
白鵬は北の湖や貴乃花のように顕著な実績を残しているので、しこ名のままで親方になれるはずだが、その条件は「日本国籍を有すること」。白鵬は帰化していないため、現在もモンゴル国籍だ。
「白鵬にはモンゴル国籍のまま親方になりたいという悲願があるんです。“角界に誰よりも貢献し、日本人よりも相撲をよく知っているのだから認めて欲しい”と強く望んでいるようです。でも、相撲協会は『帰化なしに親方にすることは絶対にできない』と明言しています」(前出・相撲記者)
白鵬は来日から15年経っており、妻(30才)が日本人ということもあって、帰化のハードルは低い。それでもモンゴル国籍にこだわるのには父親の存在がある。父、ムンフバト・ジジトさん(74才)はモンゴル相撲の大横綱で、モンゴル人初の五輪メダリスト(1968年メキシコ五輪レスリング銀メダル)という母国の国民的英雄なのだ。
「モンゴル出身力士が帰化すると、母国から非難を受けがちです。とくに白鵬の父親は国の英雄であり、息子が帰化するなど許せないという思いが強い。今、父親は病気療養中ということもあり白鵬としても心労をかけられない。そんな気持ちが帰化を思いとどまらせているのでしょう」(前出・相撲協会関係者)
※女性セブン2015年10月8日号