安保法案が成立したが、国会前などのデモ活動を通じ、抗議の声をあげてきた人々からは法案に賛成した議員に対して落選運動を起こそうという声が上がっている。
現在の与党の圧倒的力を見るにつけ、こうした草の根的な運動は効果ないとする意見も出ているが、世界をみると、落選運動が政治を大きく動かしたケースは少なくない。
韓国では2000年の総選挙で460の市民団体が連帯して落選運動を展開。汚職政治家や職務怠慢などを理由に86人の「落選候補」を公表して国民に投票しないように呼び掛け、59人が落選した。
米国でも前回の大統領予備選挙(2012年)で「ティーパーティ」と呼ばれる共和党保守派の団体が同じ共和党でも穏健派のロムニー候補を落とすために積極的に落選運動を行ない、同年のインディアナ州上院選の共和党予備選では「オバマ政権の財政出動政策に協調した」という理由で現職の共和党重鎮を敗北に追い込んだ。
政党の支持者が所属議員にNOを突きつける。これが最も選挙に響く。日本の安保反対デモでも萌芽はあった。デモ隊の中に、創価学会のシンボルの三色旗を公然と掲げた参加者が目立っていたからだ。三色旗を掲げてデモに参加した創価学会員が語る。
「全国の創価学会には今の公明党と自公政権の姿勢に強い疑問を抱いている会員がかなりの数にのぼる。けれども、地域の学会コミュニティ単位ではまだ少数派で、デモに参加すると幹部から『行かないように』と締め付けや嫌がらせを受けるわけです。だから声を上げたくても踏み切れないでいる。
そういう学会員たちにネットで呼びかけてまとまった数を集め、公明党に『態度を変えなければ、平和を求める創価学会員として選挙に協力しない。ましてや自民党との選挙協力なんてとんでもない』と突きつける。ネットにそんな安保法制反対の学会員たちの匿名のスレッドがいくつも立ち上がっており、これから連帯は進んでいくはずです」
※週刊ポスト2015年10月9日号