9月28日、NHK連続テレビ小説『あさが来た』が始まる。50年以上の朝ドラの歴史のなかで初めて幕末を描く。ヒロインのあさ(波瑠)は京都の豪商の次女として生まれ、箏や裁縫に熱心な姉とは対照的な、相撲が大好きなお転婆娘として育つ。大阪の両替商の次男と結婚をするが、時代が明治に入ると、両替商は時代遅れの商売となり倒産寸前に陥る。その後、炭坑の経営に乗り出す。
男社会ではあさの奮闘はなかなか認められないが、大阪の発展に尽くす師との出会いを機に、銀行経営そして日本初の女子大の設立にも挑戦するストーリーだ。そのなかで大阪一の両替商・眉山栄達役を演じる辰巳琢郎(57才)に朝ドラの思い出を聞いた。
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京都大学時代は、学生劇団を主宰し、主にプロデューサーとして芝居作りに没頭していました。7回生の秋、朝ドラ『ロマンス』(1984年)の出演者募集を新聞記事で見つけて、いろいろな経験をしてみたいとオーディションに挑戦。結果、言わば2人主人公の片割れという大きな役をいただきました。いざ撮影が始まると、スケジュールはかなりハード。撮影のため卒業式にも出席できませんでした。
8か月にわたる撮影期間はあっというまでしたが、教わることばかりでした。自分で見ていても下手くそな演技で、随分ご迷惑をおかけしましたが、「辰巳くんは40過ぎてからいい役者になるよ」とおだてられ、その言葉を糧に今まで続けてこられた気がします。
その後、『連想ゲーム』や『くいしん坊!万才』といったドラマ以外の番組に出演するなど、いろいろな仕事に携わらせていただき、ようやく人並みに食べていけるように…。朝ドラは今作で6回目の出演になります。江戸時代の経済を動かしていた大阪の両替商の当主役です。でも、明治維新の波をまともにかぶり、落ちぶれて…。それからどう生きていくのかがおもしろいので、見てください。
朝ドラの撮影現場に戻ってくると、ホッとするというか、初心に帰れます。朝ドラはぼくにとって「故郷」です。
※女性セブン2015年10月8日号