このたび終了した連続テレビ小説『まれ』(NHK)は、家族で石川県能登に移住するところから始まる。いろんなブームが凝縮されたドラマと言われてきた。『あまちゃん』のような母娘確執、ヒロインの仕事が、憧れの職業として人気急上昇中のパティシエなど、挙げたらキリがない。
NPO法人ふるさと回帰支援センターの代表理事・高橋公さんはこう説明する。
「2002年から活動してきて、今年で13年目になりますが、移住の相談件数が活動開始当時は月に20~30件だったのが、今年は7月だけで2600件以上にもなりました」
2008年のリーマン・ショックの頃から、20代の相談件数が増えたという。
「私は団塊の世代ですが、私が若い頃は、集団就職で汽車に乗ったりして上京していました。“東京に来たらきっと何かがある”と思ってね。ところが今は、いい大学に入ったって、卒業しても一般の企業でも正規社員になれるのは6割。年収200万円以下が1400万人もいるといわれているのが現状です。だから若者たちは自分の可能性を試そうと、積極的に地方でがんばろうとしている」(高橋さん・以下「」内は同)
2011年の東日本大震災で、人々の価値観が大きく変わったことも無関係ではない。
「大量生産、消費、廃棄型の暮らしが豊かさの象徴だと思っていたけれど、原発事故に直面して、みんなそれまでの生活を見直し始めた。子育て世代が家族で一緒に地方に移住するというケースも目立っています」
※女性セブン2015年10月8日号