実家の片づけが大ブームだが、リビングやダイニングはどのように片づけたらいいのだろうか。『もう限界!! 親の介護と実家の片づけ』(自由国民社刊)の著者、高室成幸さんはこう語る。
「高齢になると体の不調が増えたり、社会的なつながりが減り、家で過ごすことが多くなります。外出しないまでも、せめて家の中で体を動かしたり、リビングでテレビを見るなどして明るく過ごしてほしいものです。寝室にこもっていると老化が一気に進むこともあります」(高室氏)
だからこそ、テレビやマッサージチェアなどリラックスできる物や趣味の道具を置くなどして、高齢の親が自然と足が向くリビングにすることが大切だ。
「家族がいらないと思っても、お年寄りには大切な物があります。たとえば、なじみの物や大切にしている物はむやみに処分したり置場を変えない、といったことを肝に命じてください。その一方で、座布団や新聞、本、ティッシュボックスなどを床のうえに置きっぱなしにすると転倒の原因になるので、迅速に片付けてください」(高室氏)
リラックスできる椅子といえばソファが思い浮かぶかもしれないが、高齢者には不向きだ。
「ソファは深く座るため、姿勢を崩しやすいばかりか、立ち上がるときにバランスを崩すしやすい。低めの椅子を利用することで立ち上がりやすくなります。
また、高齢になると嚥下機能が衰えてきます。食事の時は誤嚥性肺炎などを防ぐために気道がまっすぐになるように椅子の高さを調整してください。背面にクッションを置いて背骨が曲がらないように工夫し、座面も高めにしましょう」(高室氏)
リビングにはラグやマットを敷きがちだが、高齢者がつまずいて転ぶ可能性がある。一度転ぶと恐怖心が生まれ、リビングに来たがらなくなることもあるので、とくに配慮したい。
※女性セブン2015年10月8日号