国会前のデモなどで安保法案に反対してきた人々からは、法案に賛成した議員に対して落選運動を起こそうという声が上がり注目を集めている。
では、安保法案反対派が落選運動の標的にするのはどんな顔ぶれだろうか。政治評論家の浅川博忠氏はこう見る。
「安保法案強行の責任者の筆頭はいうまでもなく安倍晋三・首相、次に担当閣僚である中谷元・防衛相と岸田文雄・外相、菅義偉・官房長官も同格です。法案の閣議決定に署名した大臣たちも当然、連帯責任を負っている。
自民党では解釈改憲を主導した高村正彦・副総裁が一番で、谷垣禎一・幹事長、稲田朋美・政調会長、二階俊博・総務会長の党3役も同等でしょう。参院側は安保特別委員会の鴻池祥肇・委員長と“ヒゲの隊長”こと佐藤正久氏ら与党理事たち。さらに解釈改憲に反対しながら法案賛成に回った公明党でいえば山口那津男・代表と与党の法案協議の責任者だった北側一雄・副代表が重い責任を負っている」
すでにネットでは来年の参院選をにらんで、安保法案に賛成した自民、公明、次世代の党、日本を元気にする会、新党改革5党の参院議員全員の名前が「安保法案戦犯リスト」などの見出しで掲載されている。『安全保障関連法案に反対する学者の会』の呼びかけ人で憲法学者の小林節・慶応大学名誉教授はこういう。
「安保法案反対運動は違憲訴訟と選挙の両面から今の政権を交代させる活動に移っていくでしょう。落選運動はその一環。参院選では与野党対決となる1人区を中心に自民党の対立候補を応援することになるだろう。
さらに衆院解散に追い込んで次の総選挙でも落選運動は継続される。ただし、政権を代えるといっても、あくまで間違った憲法解釈や安保法制を改めさせるのが目的ですから、特定の政党や労働組合などの組織と結びつくのは危ない。学生や学者、弁護士、市民グループなどが緩やかに連携する形で運動を展開していくことになると思う」
※週刊ポスト2015年10月9日号