43年間荒野でサバイバル生活を送ってきた“洞窟おじさん”こと加村一馬さん(69才)の著書『洞窟おじさん』(小学館)が、リリー・フランキー(51才)主演でドラマ化。7月20日に放送された2時間版に続いて、10月1日からは全4話の完全版(NHK BSプレミアム、毎週木曜夜9時スタート)が放送される。
そこで、原作者の加村さんと、その加村さんを演じたリリー・フランキーとの対談が実現した。
〈11年前、加村さんは自動販売機をこじ開けようとして現行犯逮捕され、“発見”された。その後、群馬県内で福祉施設を運営する社会福祉法人『三和会』の藤澤敏孝さんの助けがあり、現在暮らしている自立支援施設に移り住むこととなった。「軽部さん」(尾野真千子が演じる)は、その施設の職員として働いていた保嶋のり子さん(62才)がモデルとなっている〉
加村さん:恥ずかしいけど、本当に保嶋さんは神様みたいな人だな。
リリー:世俗に交われず、逃げようとする加村さんを必死につなぎ止めたんですもんね。チャリンコで逃げようとするところを追いかけて、格闘して、捕まえて…。この時のシーンは自然に泣けました。誰とも接することのできなかった加村さんが、いろんな人に触れて変わっていく。人との接触を受け入れるようになって、加村さんが温かい気持ちを取り戻していく。そういうドラマがあってこそ、物語になったんでしょうね。
加村さん:恐怖は耐えられるけど、結局、寂しさには耐えられないよ。洞窟で暮らせたのだって、(愛犬の)シロがいたから。そうでなきゃ、どこかに死にに行ってただろうね。富士山の樹海をさまよったとき、首つりして白骨化したおじさんと女の人を見たことがあった。あのひどい姿を見ていたら自然と涙が出たんだ。すごく寂しい人に思えたんだよ。
〈最初は緊張していた加村さんも、徐々にリラックスしてきた様子。打ち解けたふたりの話は弾んでいく。そしてこんな話題まで…〉