加速するコンビニエンスストア再編の目玉ともいえる業界3位のファミリーマートと、4位のサークルKサンクス(CKS)を傘下に持つユニーグループ・ホールディングス(ユニーGHD)との経営統合。だが、その進展状況がまったく聞こえてこない。
今年3月に両社のトップが開いた記者会見では、「対等の精神」を念頭に8月に基本合意書を交わし、株主総会の了承を経て来年9月に統合新会社を発足させるというロードマップを示していた。ところが、8月下旬に急きょ基本合意の延期を発表して以降、何のアナウンスもない。
業界関係者の間からは、「破談になるのではないか」との噂まで飛び出しているが、両社の統合交渉がズレ込んでいる理由は何か。流通アナリストでプリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之氏が推測する。
「今回の統合話は、ファミマの筆頭株主でユニーにも約3%を出資する伊藤忠商事が川下の流通戦略を強化する目的でイニシアティブを取ってきました。ローソンやイオングループと密な三菱商事、セブン&アイホールディングスに近い三井物産と比べると、伊藤忠は格下の戦いを強いられていますからね。
しかし、市場規模が拡大し続けるコンビニ同士の統合だけならまだしも、ユニーGHDは『アピタ』や『ピアゴ』など業績低迷が続くGMS(総合スーパー)を多く抱えています。その“お荷物”を整理してからでなければ統合効果が薄れてしまう。そう考えた伊藤忠がユニー側に強烈なプレッシャーをかけたことが、延期につながっているのでしょう」
ユニーに限らずGMS業態は時代遅れと言われて久しい。先般、イトーヨーカ堂が40店の閉店を発表したように、衣料品や生活用品まで何でも揃う大型のGMSは、ユニクロなど専門店に客や売り上げを奪われ、独自売り場で採算を取ることが難しい。
そこで、ユニーも「伊藤忠が提示する厳しいリストラ条件をクリアするため、不採算店舗約50店の閉店を決断し、その処理に追われている」(業界関係者)というのが真相のようだ。