中国では食文化の欧米化が進み、チーズの消費量が急増しており、有望なマーケットとなっている。今年の中国のチーズ消費量は35億5000万元(約7100億円)と前年比24%増となっており、フランスやオランダなどの欧州やオーストラリアとニュージーランドの企業は中国への投資活動を急速に進めている。中国の官営英字紙「チャイナ・デーリー」が報じた。
中国は昨年1年間で7万トンのチーズを消費しており、そのうちの94%が輸入品だ。 中国のチーズの最大の輸入元はニュージーランドで、昨年の輸入量は約3万トンで、前年同期比約50%増。2014年11月に自由貿易協定(FTA)を締結したオーストラリアからの輸入量は前年同期比約80%増の約2万トンで、今年はFTA締結の影響で一層の増加が予想されている。
このほか、フランス、イタリア、デンマーク、ドイツ、オランダなど欧州諸国からも輸入も増えている。
今後の伸びについて、欧州の市場調査会社「ユーロモニター」は2017年の中国のチーズ消費量は53億8000万元(約1兆760億円)と今年に比べて、50%増となると見積もっており、豪州や欧州など畜産国にとっては、中国は世界最大の有望な市場になる可能性が高いだけに、対中投資も意欲的だ。
ニュージーランド最大手の酪農協系乳業メーカーであるフォンテラ・コーポレティブ・グループ」は今後5年間で中国のチーズ消費量は2倍以上に達するとみて、今後1億7000万ドル(206億円)を投資して、モッツァレラチーズやクリームチーズ、プロセスチーズの生産量を倍増させる計画だ。
フランスの大手乳製品メーカー、ベル社も2007年から毎年、中国に500トンから700トンのチーズを輸入しているが、今後は市場を北京から上海、広州にも拡大して、倍増を目指すという。
中国の乳製品事情に詳しい業界関係者は日本企業の中国進出の状況について、次のように語る。
「日本の粉ミルクは中国市場で高い評価を受けているが、チーズはまったく無視されているのが現状だ。国際的な乳製品メーカー大手が中国市場でチーズの売り込みを強化するなか、日本製品は全体の1%にも満たず、わずか0.5%程度ではないか。日本のチーズ製品は中国では大きく出遅れているが、中国は今後、世界でも唯一と言ってもよいほど急成長が見込まれる市場だけに、今後の奮起を望みたいところだ」