中国の大手航空会社、東方航空傘下の上海航空はキャビンアテンダント(CA)やパイロットなど飛行勤務要員に対して、「結婚する場合、1か月前に届け出を出さなければならない」などとして、結婚相手の素性などを記した書類を会社に提出することを義務づけることを決定した。これは基本的に東方航空も同じ。
この理由として、航空会社の飛行勤務要員は「特殊な身分であり、航空の安全に重い責任を負っている」と主張しているが、ネット上は「人権侵害だ」などとの批判的な書き込みも目立っている。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。
上海航空は今年8月下旬、「飛行勤務人員の結婚報告手続について(試行)」と題する文書を社員に通知した。
それによると、キャビンアテンダントやパイロットなど飛行勤務要員は地元も公的機関に婚姻の書類を届ける1か月前に、同社の中国共産党委員会に「結婚報告届け」の書類のほか、結婚相手の履歴などを報告するよう指示。党委員会はそれらの書類を審査し、結婚の許可、不許可を決定するとしている。
結婚が「不許可」の場合について、通知は「不合格者は規定に照らして処理する」としか書かれていない。
また、書類では結婚の報告をしなかった場合、「処罰される」としているが、罰則の内容については触れていない。
これについて、親会社の東方航空の社員は「以前はそのような規定はあったが、いまは運用されていないのではないか。なぜ、上海航空だけ、そのような規定が適用されるのか不思議だ」と会社側の意向をいぶかっている。
上海航空では「飛行勤務ではテロやハイジャックの危険性と隣り合わせであり、キャビンアテンダントらの配偶者がどのような人物かを会社は知る必要がある」と説明している。
同社では入社する際も、対象者の家族に犯罪歴があるものはいないかなどを報告させており、社員の個別調査を徹底しているという。
これについて、ネット上では「安全上、やむをえない。とくに、上海は大都市だけに、旅客機の安全には万全を期す必要がある」との声がある一方で、「あまりにも時代錯誤的なやり方だ。まさに人権無視であり、航空会社は安全に万全を期するのは当たり前だが、このような強圧的な方法でなく、もっと適切な方法を考えるべきだ」との書き込みもみられている。