最近、女性週刊誌で「名古屋の神様」として注目を集めている人物がいる。「霊能者」の沖紘子(ひろこ)氏だ。愛知県・知多半島で生まれた沖氏は、日本有数の霊場とされる鞍馬山で、霊能修行中に倒れた祖父の霊能力を受け継いだという。
名古屋市を拠点に50年以上にわたって活動する彼女を一躍有名にしたのが、「命名力」だった。生年月日や、親が子供に「どうなってほしいか」などを考慮し、画数をみながら名前をつけるという。その代表例が松田聖子(53)を世に送り出したことだ。
当時は山口百恵が三浦友和と結婚、引退した直後。百恵という国民的アイドルを失い、日本中が沈んでいた。そんなところへ次代のスターとして現われたのが聖子だった。そのため、命名の際には“山口百恵を超えるように”という要望があったという。
沖氏は聖子の当時の所属事務所・サンミュージックから本名と生年月日のほか、デビュー前の写真1枚を渡された。沖氏は写真に写った幼い聖子の姿を一目見ただけで、彼女がミッションスクールに通っていたことを見抜き、「聖」の字を使おうと考えた。
さらに当時、サンミュージックの社長だった相澤秀禎氏(故人)には「天地」のパワーが秘められているとして、「地」のエネルギーにつながる「田」の文字を選び、画数判断などと組み合わせて、生命力のある「松田聖子」と命名したという。
その後の聖子の大ブレイクは説明不要だろう。そして沖氏は「聖子の名付け親」として芸能界では知る人ぞ知る“神様”となり、その後も早見優(49)、太川陽介(56)、沢田知可子(52)ら数々の芸能人に名前を与えてきた。
沖氏は20代の頃まではその霊能力が話題を呼び、テレビにも出演していたが、近年は表舞台に登場していない。それでも多くの芸能関係者たちが「名古屋の神様」と崇めているという。彼女にはこんな「伝説」もある。
「沖氏はテレビ関係者を通じて初対面の三島由紀夫と食事した後、何の前触れもなく吐血した。彼女の体に異変はなく、『そうか。三島さんは血を吐いて死ぬのだな』と予見したという逸話がある」(マスコミ関係者)
周知の通り、三島氏は後年、自衛隊市ケ谷駐屯地で割腹自殺を遂げた。沖さんが20代の頃に出演したラジオ番組ではこんなエピソードも残っている。
「歌人・劇作家の寺山修司さんとの共演でした。このとき2人は初対面でしたが、沖さんは寺山さんに“馬のように足がぐっとしまっている女性とか、馬と同じように女性を選ばれていますね”といったそうです。実際、寺山さんは馬主になるほどの馬好きでしたが、初対面の沖さんにピタリと女性の好みをいい当てられ、“面白い”と彼女を気に入っていました」(ラジオ局関係者)
※週刊ポスト2015年10月16・23日号