安保関連法案を成立させた安倍晋三・首相にとって、目下、最大の関心事は後継者選びのようだ。自民党ベテラン議員が語る。
「安保法制という最大のヤマ場を乗り越えた今、自らが矢面に立って身を削るよりも後継者を育てて院政を敷きたい。総裁2期目は後継者づくりが最大の政治目標だと考えているのではないか」
では、意中の後継者は誰か。安倍首相はこれまで、稲田朋美・政調会長を重要ポストに配し、“後継者”として育成していることが衆目の一致するところだった。それがここにきて、永田町では「次は谷垣禎一・幹事長で決まりだろう」(大手紙政治部記者)とする見方が出てきた。
安倍主導の後継選びが進むなか、存在感がなくなるばかりなのが、2012年の総裁選で安倍首相を上回る地方の党員票を得て次点となった石破茂・地方創生相だ。
9月28日には「石破派」を旗揚げ。「次の総裁選で野田(聖子)さんと同じ目には遭いたくないと立ち上げた」(自民党関係者)というものの、本人を除いたメンバーは19人で、総裁選立候補に必要な20人に届かない始末。もともと石破氏に近い議員グループが約40人の勢力だったことを考えれば、党内ではもはや「終わった人」扱いされている。
※週刊ポスト2015年10月16・23日号