全国の僧侶の4人に1人が読んでいるという「業界ナンバーワン雑誌」がある。今年で創刊41周年を迎えた『月刊住職』だ。
「寺院住職実務情報誌」を謳っているが、その内容は実にジャーナリスティックだ。住職の痴情のもつれから寺院の詐欺事件まで、ディープな情報を掲載し、話題を呼んでいる。同誌を10数年欠かさず読み続けている群馬県の現役住職が語る。
「『月刊住職』は仏教界の“ゴシップ誌”ですよ。下世話な面白さがあるんです。大半の読者の目当ては、やっぱり他の寺の不祥事。名刹のスキャンダルが出たときは、寺内で回し読みしていますよ。檀家さんの前では、おおっぴらには読めない雑誌です(笑い)」
『月刊住職』(興山舎刊)は毎月1日発売、年間購読料は1万5000円だ。9月号(9月1日発売)の目次には、『首都圏開教のための大霊園の利権』『寺口座で誘う開運祈祷は詐欺か』『お布施の搾取と行方』など、何やら物騒なタイトルがズラリと並ぶ。同誌の矢澤澄道編集長がいう。
「全国で6万人といわれる住職の4人に1人が読んでくださっています」
最近は踏み込んだ記事の内容が業界外からも注目されている。例えば“衝撃のスクープ”と銘打った『開運詐欺に複数の伝統仏教寺院や住職が加担しているのは本当か!?』(8月号)では、複数の真言宗系寺院が開運詐欺商法グループと結託し、先祖供養料名目などで一般人にカネを振り込ませたという疑惑を報じた。
他にも住職や僧侶が起こしたDV、ストーカー事件を取り上げ、宗派ごとの対応を詳報するなど重厚な“調査報道”が少なくない。
住職の実生活に根ざした記事も多い。『全国多数の月収10万円以下極貧寺院の住職はいかに生きてるか』(7月号)では、全国の寺院の3割が年収100万円以下である事実を紹介。檀家からのいただきもので毎食を済ませ、冷暖房をつけずに月8万円で暮らす専業住職の極貧生活を伝えた。「下流住職」ルポといったところか。