女性の12人に1人が罹患するといわれる乳がん。医師と充分に相談して無事治療が終わっても、そこがゴールではない。そこから先につきあわなければいけないのは、再発の不安だ。乳がんの5年生存率は9割を超えるが、10年、20年後に転移が見つかることもある。何年経ってもその可能性は決してゼロにはならない。
タレントのアグネス・チャン(60才)は、2007年9月、右胸に乳がんが見つかった。温存手術と放射線治療の後、その後5年間のホルモン治療を受けた。治療が終わって3年経った今でも、「再発は怖い」と口にする。
「最初は、ちょっと横になったときに違和感があって、触ってみたら何かあるなと思って、病院でマンモグラフィーと超音波検査を受けました。そしたら、『何か映っている』と言われて、細胞を取って調べたら、早期の乳がんだとわかりました。医師をしている姉は“全部取ったほうがいい”と言ったけど、先生は“残せるなら残したほうがいい”と言うので、“手術のときにリンパ節に転移していたら全摘で、転移してなかったら温存で”と先生に伝えました。結果、転移していなくて温存でした」
アグネスが乳がんになったとき、いちばん下の子供はまだ11才だった。
「この子が少なくとも中学卒業するまで、あと5年は絶対生きていたいから全力で闘病しようって思ったんです。今は元気になって毎日楽しいし、活動できているけど、治療中はつらかった。今も再発の不安があります。でも知り合った乳がんの人たちとつらいこと、楽しいことをたくさん話して支え合ってきました」
がん治療で最も大切なのは、前向きな気持ちでリラックスした状態を保つこと。アグネスは同じ経験をした“がん友”と支え合って乗り切り、2005年に37才で乳がんが発症した女優の宮崎ますみ(47才)は、ホルモン治療をやめる決断をした。
「ホルモン治療で分泌が制限されたことで倦怠感に襲われ不眠になるなど、さまざまな副作用に苦しみました。ある時、気功を習い始めたのですが、その初日の夜、8時間ぐっすりと眠れたんです。それで医師と相談して治療をやめました。でも、だからこそ生きるぞ!という力が湧いてきたんです」(宮崎)
※女性セブン2015年10月22・29日号