中国では9月3日、北京で抗日戦争勝利70周年を記念する軍事パレードが大々的に行われたが、北朝鮮の秘密警察である朝鮮人民保衛部はテレビでパレードの生放送を見ていた北朝鮮の市民を多数逮捕していたことが分かった。
いまや中朝両国は犬猿の仲となっており、天安門楼上で、習近平中国国家主席がプーチン・ロシア大統領や朴槿恵(パク・クネ)韓国大統領と親しげに話す姿に北朝鮮の金正恩第一書記が嫉妬したとの見方も出ている。米政府系報道機関「ラジオ・フリー・アジア」が報じた。
北朝鮮では中国との国境地帯では中国吉林省のテレビ映像が受信できる。ただ、北朝鮮国内では限られたチャンネルしか見ることができないように、テレビチャンネルが固定されており、中国の放送の視聴は違法だが、テレビ自体は容易に改造できるという。
このため、中国の吉林省延辺朝鮮族自治州に隣接する咸鏡北道の穏城、会寧、茂山などの地域では中国中央テレビだけでなく、朝鮮語放送の延辺テレビも視聴でき、しかも、この日のパレードは生放送だったので、北朝鮮の市民は食い入るようにテレビ画面に見入っていたという。
ところが、予想だにしないことに、人民保衛部の要員が次々と踏み込んできては、規則に違反した市民らをトラックの荷台に積んで、地方の警察署に連行。ある市民によると、逮捕された市民らは中国の人民元で罰金を払わされて、釈放されたという。
このような多数の市民の逮捕について、情報関係筋は同ラジオに対して、「中国が多数の海外の来賓を招待して、多数の高性能の軍事兵器を披露するなどして盛大にパレードを行ったことに、金正恩第一書記が不快感を示したのだろう」と指摘している。
さらに、中国の軍事パレードには金正恩第一書記の代わりに崔竜海・朝鮮労働党中央委員会書記が出席したが、その席順は末端扱いで、テレビでも放送されておらず、北朝鮮代表団は中国からまったく無視された形だ。
他の国々の代表団はパレードの後、歓迎晩餐会などに出席したものの、北朝鮮代表団はパレードが終わるとそそくさと帰国しており、各国の中でも、北京滞在時間が最も短かっただけに、金第一書記の怒りがどれほど大きかったかは想像に難くない。
ネット上では「北朝鮮が習近平に無視されたことで、今後ますます中朝関係は悪化することが予想される。近い将来、国境で紛争が起こったり、中国が北朝鮮に侵攻することも考えられる」との専門家の声も紹介されている。