葬儀といえば、戒名が高額なものというイメージもあるが、値段はどのように決まるのか。自らの寺院を持つ住職・副住職が一堂に会し、匿名を条件に暴露した。登場するのは甲信越地方の浄土宗の副住職A(43)、関西地方・浄土真宗の住職B(63)、関東地方・曹洞宗の住職C(50)の3人である。
曹洞宗C:戒名は宗派や寺の格によって大きく異なりますね。うちだと「居士(大姉)」で15万円ぐらいですが、他の寺や宗派だと倍以上することもある。
ただ、その金額は「お布施」と同じようにあくまで寄付。そもそも昔は、寄付のお礼という意味で戒名をつけていた。それがいつの日からか、「居士はいくら」という話になってしまった。
浄土宗A:ウチでは戒名に対してお金をいただくというよりも、枕元で読み上げる「枕経」から葬儀費用、戒名をパッケージとして「お布施」としていただいています。
浄土真宗B:浄土真宗の場合は戒名ではなく法名というのですが、本山に申請するものであり、お寺は取り次ぐだけで儲けになりません。
他の宗派の中には院がつけば高貴だとか、文字数が多ければいいといって高額にして「真水の利益」としている僧侶も多いと聞きますね。
浄土宗A:最近は島田裕巳さんの『戒名は、自分で決める』(幻冬舎新書)という本の影響もあってか、戒名を持ち込んでくる人もいる。
その中には「戒名の代金は払わない」といってくる檀家さんもいらっしゃいます。そういう人に限って、使ってはいけない漢字を入れてしまった「タブー戒名」をつけてきたりする。
差別につながる言葉なのでここでは伏せますが、常用漢字にもそういう“落とし穴”があるので、プロに任せてほしいんですけどね。
※週刊ポスト2015年10月16・23日号