阪神タイガースとは切っても切れないのが関西のマスコミだ。なかでも、何があっても試合終了まで阪神戦を中継するのが兵庫県のローカル局・サンテレビだ。1969年開局以来、甲子園でのタイガースの試合を完全生中継。昨年は開局45周年を迎え、タイガースの公式戦中継3000試合を達成。この間、いくつもの“歴史的試合”を中継してきた。
語り草は「サンテレビの9.11」と呼ばれる、史上最長試合となったヤクルト戦(1992年9月11日)だ。中継時間は6時間26分、終了は午前0時26分だった。平均視聴率28%、瞬間最高視聴率は50%をマークした。
「開局に携わった人にラジオ局勤務経験者が多く、ラジオ的な完全放送の発想だった。当時、甲子園では巨人戦以外はガラガラ。アルプス席を閉鎖することもあったため、球団関係者からは“テレビ中継されたら客が減る”という嫌味もあったと聞いています」(広報担当者)
だが結果的にファンからは好意的に受け取られている。1973年、巨人との最終戦で勝った方が優勝という大一番の後、阪神が大敗したことで、試合後にファンが暴徒となって球場になだれ込んだ。巨人の選手が暴行され、他のマスコミも被害を受けたが、サンテレビの中継車だけは「“あれは仲間や”と襲われなかった」(広報担当者)という。
※週刊ポスト2015年10月16・23日号