芸能

あさが来た 女の一代記、頑固親父、決め台詞…好調理由を解説

『あさが来た』に出演している玉木宏、波瑠、鈴木梨央

 モデルで女優の波瑠(24才)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『あさが来た』。第1週の平均視聴率は20.3%、第2週は20.2%と好調だ。それだけ視聴者の支持を集めるのにはちゃんと理由があるようだ。コラムニストのペリー荻野さんが解説する。

 * * *
 そんなわけで、「朝ドラ史上初のチョンマゲ」として話題の『あさが来た』。幕末、京都で一番の両替商のおてんば娘あさ(波瑠)が、大阪の同業者「加野屋」のぼんぼん新次郎(玉木宏)のもとに嫁ぎ、維新後はさまざまな事業を起こして実業家となり、日本初の女子大創立にも貢献するという物語。

 スタート二週目にして、新次郎のもとに嫁入りしたはいいが、肝心の花婿は婚礼の日を忘れて大遅刻。夜、新次郎に抱きしめられたあさは、得意の相撲技で夫を投げ飛ばしてしまう。毎回、誰かが怒鳴るか、泣くか、ひっくり返っている。驚くべき朝ドラである。

 初回視聴率は20%を超える好発進。時代劇好きの私は、そこにチョンマゲがあるだけで、なぜかうれしいのだが、このドラマを観ていて感じるのは「絶対にヒット要素ははずさない」制作側のテッパン志向である。

 朝ドラヒットの大きな要素ともいえる「波瀾万丈の女の一代記もの」(過去の例では『花子とアン』や『おしん』などがある)であること。ヒロインの子供時代を演じる子役が実力派であること(あさの子役時代を演じたのは、大河ドラマ『八重の桜』で綾瀬はるかの子供時代を演じ、CMでは『おとくちゃん』でもおなじみの鈴木梨央)、相手役が「みんな知っての通りのアホぼんだす」ととぼけた男前役がうまい玉木宏であること、朝ドラ名物ともいえる頑固おやじがいること(あさの父親役の升毅は始終『こら、あさ!!』と雷を落としていた。かつて朝ドラでは中条静夫、小林稔侍らが頑固おやじ役で人気を博した)、ヒロインあさに「びっくりポン!」という決めセリフがあること(『あまちゃん』のじぇじぇじぇ!はみなさんご存知)などなど、過去の朝ドラを研究した成果ともいえるべきテッパン要素が本当に多い。

 加えて、あさに大事なアドバイスをする元薩摩藩士の五代才助役に五か国語をあやつる注目の俳優ディーン・フジオカを起用。さらに「加野屋」に借金をしにきた新選組の土方歳三が誰かと思えば、山本耕史! 2004年の大河ドラマ『新選組!』で土方を演じた山本をそっくりそのままの役で登場させ、「待たせたな」と言わせる。話題作りにも余念がない。

 これだけテッパンなドラマだと、視聴者はハラハラも突っ込みもせず、安心して身をゆだねて見ていればいいのだが、不思議なものでどこかに「自分だけのお楽しみキャラ」を見つけたくなるもの。私のお薦めは、あさの祖父今井忠政役の林与一だ。豪商のご隠居として悠悠自適の日々を送る忠政は、あさと大の仲良し。あさが布団からこっそり抜け出すと「忍法変わり身の術か。やりおるなー」と感心し、女は親の決めた結婚をするのが当たり前という風潮に「なんで?」と疑問を持つ孫娘に「あさは偉い。なんでやと思う人間が世の中を変えていく」と優しく語るのだ。あさの嫁入りがさびしくて、ぴーぴー泣き出すおじいちゃん。人間味もたっぷりだ。

 先日、六十年近い芸歴にして初めての生放送ゲストだと『スタジオパークからこんにちは』に出演。撮影現場では、波瑠の手をとり、指先の冷え性のツボを教えたりしたという。その話を聞いて、私はさすが!と膝を打った。昔からモテ男というのは、下心のありなしを問わず、美人の手をとるもの。私はご本人から、若いころには、どんなに仕事で忙しくてもデート、デートの日々だったと聞いたことがある。とにかく男の色気がある人なのだ。

 歌舞伎の家柄に生まれ、「スクリーンに映るだけで館内にどよめきが起こった」と言われる天下の二枚目長谷川一夫の薫陶を受けた正統派モテ男。そのふんわりと優しい色気をテッパン朝ドラで堪能するのも楽しい。

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン