国内

能町みね子氏 「劣化」という表現はモノに使う言葉で不愉快

 インターネットを中心に飛び交っている「劣化」という言葉…これに噛みついたのが、同日にラジオ番組に出演した爆笑問題・田中裕二(50才)だった。

「ネットの人たちが大好きな『劣化』って言葉はクソ嫌い。アイドルとか女優さんが使われるじゃないですか。アレはね、どんだけ人を傷つけているかを自覚して使え! “人間の顔が劣化した”っていうのは間違っている!」(『JUNK爆笑問題カーボーイ』TBSラジオ)

「劣化」とは、主にネット上でブームになっている表現で、女性タレントや女優、アイドルの容姿が加齢により変化したことを否定的に表す。

 GACKT(42才)も自身のブログで、《よく他人のことをそこまでボロカスに言えるよな…って思うことだって多い》《歳を取ること=劣化じゃない》と発言するなど、今「劣化論争」がまき起こっている。

 劣化という言葉に、不快感を覚える人が多い理由を、エッセイストの能町みね子さんが指摘する。

「『劣化』が頻繁に使われる以前は、テレビで芸能人を見ながら、『この人、年取ったね』や『老けたねぇ』と言ってました。それは一般庶民的な感覚を表しただけで、不愉快な表現ではなかったはずです。

 ところが、『劣化』はそもそも人の容姿に使われる言葉ではない。機械などのモノの品質や性能が悪くなることを指す表現です。それを人間に使うから見ている人が不愉快になるのも当然です」

 そもそも「劣化」という言葉が使われるようになったのは最近のことだと、コラムニストの辛酸なめ子さんが振り返る。

「きっかけは、アニメの“永遠に年を取らない美少女キャラ”が流行ったことでしょう。

 二次元キャラクターに見慣れたオタク男性が、生身の女性の変化を受け入れられず、『劣化』といい始めた。5~6年前ぐらいのことです。さらに最近は、ネットのまとめサイトでは女優などの映像のキャプチャー写真を出して、過去と現在を比較して『劣化だ!』と指摘するブームまで起きています」

 なぜ「劣化」という言葉は広まったのか。

「ネットでは極端な表現ほど好まれます。たとえば、『太った、やせた』という言葉も、ネット上ではいつも『激太り、激やせ』と表現されます。オーバーに言ったほうが関心を惹きやすい、ただそれだけです。

 さらにいえば、最近はもともと容姿が魅力的な芸能人のように、自分がコンプレックスを感じる相手をモノ扱いして、“上から目線”で蔑むと気持ちがよくなる人が増えているのでしょう。最も人を傷つける方法を誰かが発見すると、それが一気に拡散して、平気で使われるようになるのがネットの世界です」(能町さん)

※女性セブン 2015年10月29日号

関連記事

トピックス

九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
“鉄ヲタ”で知られる藤井
《関西将棋会館が高槻市に移転》藤井聡太七冠、JR高槻駅“きた西口”の新愛称お披露目式典に登場 駅長帽姿でにっこり、にじみ出る“鉄道愛”
女性セブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン