元女子プロレスラーでタレントの北斗晶(48才)が乳がんであることを発表した。さらに、即手術で右乳房全摘出を言い渡されたという点についても、女性たちに衝撃を与えた。
検診を受けていても、遺伝でなくとも、乳がんにはなる。最近では乳房を切除しなくても、乳癌の治療はできると聞いていたけれど、どうやらそんなこともないよう…。
乳がんの最新治療とはいかなるものなのだろうか。遺伝でなくても、生活習慣に気をつけていても、完全にがんを予防できるとは言い切れない。もし乳がんだと言われたときに慌てないため、どんな治療法があるのか事前に知っておくのも大切だ。
濱岡ブレストクリニックの濱岡剛院長は、こう解説する。
「早期でしこりの大きさが小さい人ほど、温存手術、つまり乳房のしこりだけをとる部分切除をする可能性が高いです。そして、温存手術後には放射線治療をする場合が多い。また、がんのタイプによっては手術前後に抗がん剤治療をします。女性ホルモンに反応するタイプのがんの場合、血中の女性ホルモンを調整するホルモン治療を5~10年間行い、がんの再発を予防するのです」
放射線治療や抗がん剤治療で不安なのは副作用だ。A美さんがその経験を語る。
「摘出手術後、抗がん剤治療が始まりましたが10日後には髪の毛が抜け始め、1週間で抜けきりました。先生から言われていましたが、ショックでしたね。外出する時はウィッグをかぶり、家では帽子をかぶっていました」
A美さんのように、がん治療を受ける人の多くは事前にウィッグ(かつら)を用意する。医療用ウィッグと呼ばれ、人毛や人工毛、既製品からフルオーダーまで選択肢は幅広く性能もいい。ただし値段は、既製品でも1万~10万円、フルオーダーになると30万~80万円と決して安くはない。
このように抗がん剤と聞くと副作用に不安があるが、使わないこともある。ピンクリボンブレストケアクリニック表参道の島田菜穂子院長は、こう語る。
「いわゆるステージ0で転移している可能性がないときは、切除手術のみ行い、抗がん剤などの全身治療を使いません。手術で入院するのは2~3日程度。
一方で、たとえ早期でも乳がんのある部分は手術が必要です。“切らずに治る”という方法はまだ検討の段階であったり、中には根拠のないものもあります。病気に直面した時は、ついつい耳に聞こえのいい勧誘や広告に目が向きますが、残念ながら治療から背を向けてしまっては、治ることは難しいのです」
手術費用は一般的に保険適用で10万~15万円、抗がん剤治療も受けると半年間の治療で100万円以上かかることもある。ただし、高額療養費制度によって月の自己負担限度額(年収約370万円の家庭で5万7600円)を超えた分は申請すれば払い戻される。また、がん保険に入っていれば保険金が下りるので入っておいたほうが安心だ。
※女性セブン2015年10月29日号