かつては20%越えが当たり前で、「ドル箱」といわれたサッカー日本代表戦の視聴率が苦戦している。ハリルホジッチ監督が就任した今年3月以降、視聴率20%台は6月16日のW杯アジア2次予選シンガポール戦のみ。9月、10月のW杯アジア2次予選は3試合とも20%に届かなかった。なぜ、ハリル・ジャパンの代表戦は視聴率が苦戦しているのだろうか。テレビ局関係者が話す。
「W杯予選といっても2次予選ですし、いまや視聴者も日本のW杯出場は当たり前だと思っている。昨年のブラジル大会でアジア勢が惨敗したため、出場枠の削減も噂されたが、結局『4.5』のまま。よっぽどのことがない限り、出場できると考える視聴者がほとんどでしょう。いくら日本が苦戦しても、2次予選での敗退は考えられない。初出場を決めた1997年予選のような緊張感はありませんから」
それに加えて、もうひとつ考えられる要因があるという。W杯予選といえば、中継はテレビ朝日の印象が強い。だが、9月、10月は日本テレビ、TBS、フジテレビ系が放送。ハリルホジッチ監督就任以降、サッカー日本代表は11試合を行なっているが、テレ朝はわずか2試合しか中継していない(10月13日現在)。
「テレ朝が2試合しか放映していないことと、ハリル・ジャパンの低視聴率は関係していると読めなくもないですよね。実際、ハリル・ジャパン唯一の20%越えは、テレ朝中継の日でしたから」(同前)
テレ朝といえば、いまや名物となった松木安太郎氏の解説が聞ける地上波唯一の局でもある。絶叫型で、あたかも視聴者目線の感想を公共の電波で漏らし続けるかのように解釈されることもある松木氏に対する好みは分かれるところで、以前は否定派も多かった。だが、ここ数年、ネットを中心に「松木さんの解説じゃないと物足りない」という意見も増えている。
実際、テレ朝が中継すると、ツイッター上では選手のプレーよりも、松木氏の解説に関するツイートがトレンドで1位に入るケースもしばしば。他局の解説者ではほとんどない傾向であり、松木氏が視聴率に貢献しているとの見方もできる。松木氏に詳しいスポーツライターが話す。