元プロレスラーでタレントの北斗晶(48才)の乳がん発症が報道されて以降、乳がん検診を希望する女性が一気に増加している。これまで「自分は大丈夫だろう」と思っていた人でも、なにか“異常”が見つかるかもしれない。その場合、どうなるのか。
濱岡ブレストクリニック院長の濱岡剛さんが説明する。
「検診で何か異常が見つかれば細胞診や組織診という検査が待っています。細胞診は第一段階として行うことが多い検査で、この検査で乳がんが疑われたら、さらに組織診という検査をします。
組織診では、がんかどうかが確定され、乳がんの種類、進行度、悪性度まである程度わかります」
なぜこんなにも検査の回数を重ねなければならないかというと、乳がんは乳腺症や乳腺炎などと区分するのが難しく、腫瘍を「がん」だと確定しにくいのだ。そのため、見逃されてしまうことも少なくない。
2005年、37才で乳がんを発症した女優の宮崎ますみ(47才)も、そのひとりだ。
「乳がんだと発覚する2年前から、胸にしこりがあるのを感じていました。たまたまボディーオイルを塗っていた時に、右胸に大豆くらいの小さなコリンとした硬い物が埋まっている感覚がありました。それで、一応検査しようかなと、2005年までに2回検査を受けました」(宮崎)
しかし、その結果はいずれも「悪性ではないだろう」というきわめて曖昧なものだった。そして、2005年、偶然にも知り合いの医師に血液検査をしてもらったことで、がんが発見された。
「血液検査をしたら、白血球の数値が異様に高かったので精密検査を受けました。そしてこれまで受けていたエコーにプラスしてマンモグラフィーを受けたんです。でもその結果は“たぶん悪性じゃないと思います”でした。
そしてその先生が帰り際に、“一応、細胞診しておきましょう”って。そしたらその5日後、乳がんだという結果を伝えられました。私は、2005年よりもずっと前から、がん患者だったということなんです」(宮崎)
医師で医療ジャーナリストの森田豊さんは「根拠もなく安心させる医師は要注意」と注意を促す。
「“若いから心配ない”“たぶん大丈夫”などと、気休めを言うのはあまりいい医師ではありません。むしろ悪いこともしっかり話してくれるのがいい医師です。何か不安を感じたら“違う先生にも診てもらいたいから紹介状を書いてください”とセカンドオピニオンを申し出てください。それで態度を変えるような医師はその時点でアウト。違う病院に行きましょう」(森田さん)
“たぶん大丈夫”―─誰もがそう思いたい。自分自身を安心させたい。しかしそれは危険なことだ。静岡県に住む51才の主婦・Aさんは、昔から定期検診を受けていたが、いつも「乳腺症」と診断されてきた。そのため、30才の時、40才の時にそれぞれ「経過観察」を言い渡されてきた。
「48才の時に主人と一緒に人間ドックを受けました。そこでマンモグラフィーを受けた。それまではほとんどエコーだったんです。その日のうちに、“乳腺外科のところに行ってください”と言われ、また“乳腺症かなぁ”と思っていたら、送られてきた結果には『乳がんの疑い』と書いてありました。
がんセンターを紹介され、手術を受けることになった時、私よりも焦る夫を見て、涙が出てきましたね。私のがんは進行していて、8cm以上あり、リンパには14か所も転移していました。私は右乳房を全摘出し、放射線治療を1年3か月やって、今は経過観察中で元気に暮らしています」(Aさん)
※女性セブン2015年10月22・25日号