中東の大国、サウジアラビアのニュースサイト・サダー電子新聞に9月20日、衝撃的な記事が掲載された。タイトルは、「湾岸諸国の某航空会社の機内トイレで売春を行なったCAが解雇」である。
記事によれば、「某一流航空会社」(社名は伏せられている)のタイ人CAが、9時間に及ぶフライト中に、乗客のひとりと機内トイレでセックスしていたところを機長に目撃され、解雇処分となったという。
後の調査で発覚した事実は、さらに驚くべきことだった。そのCAはこうした乗客との売春を繰り返し、客から1回の性行為につき2000ドル(およそ24万円)もの大金を受け取り、2年間でなんと総額1億2000万円以上も稼いでいたというのだ。
興味深いのは、この報道を受けた各国の反応の違いだ。第一報を流したサダー電子新聞のコメント欄には、「陸にも海にも、空にも不正を働いた」「神よ、どうぞおゆるしください」など、イスラム大国サウジアラビアならではの敬虔なコメントが相次いだ。
一方、日本では真逆の意見で盛り上がっている。「中東に行きたい!」など、スッチー信仰の篤い日本ならではの「うらやましい」コメントが殺到しているのだ。だが、世界に目を向けると、高潔なイメージの強い日本のCAとは違う実態が見える。
2010年には、ビジネスクラスに乗った日本人乗客らが眠っている間に現金や貴金属を盗んでいたとしてエールフランス航空のCAが逮捕された。昨年にもベトナム航空のCAが日本国内でベトナム人犯罪グループが万引きした化粧品や衣料品などを密輸していた疑いで逮捕されている。
「CAのステータスは日本では高いですが、海外に行けることが特別でなくなった時代に欧米諸国では一般の労働職と同じレベルに下がっている。それに伴い、CAの人件費や待遇も下がりつつあります。
ただし、湾岸諸国の一流航空会社ならそれなりの報酬があったはずですが……」(航空評論家の秀島一生氏)
真相は謎だが、今後、機内のトイレに入る際、身構えてしまうのは間違いない。
※週刊ポスト2015年10月30日号