書籍も映画も大ヒットした通称「ビリギャル」。元々のタイトルは、『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(坪田信貴・著)だが、この作品のヒットも影響し、売れ行きが急上昇しているものがある。それは、学習まんがだ。
作品中に主人公が歴史まんがで勉強するシーンがあり、著者がおすすめした小学館の『学習まんが 少年少女日本の歴史』の売れ行きが急上昇。学習まんが市場も活気づいているというのだ。
学習まんがは歴史が古く1960年代から発売されている。数多くあるシリーズのなかでも日本史の種類が一番多く、小学館や学研、KADOKAWAなど多数の出版社から発売されている。
ほかにも、学習まんがの草分け的な存在になったのが学研の『ひみつシーズ』だ。1972年に発売された『ひみつシリーズ』は理系分野を中心にさまざまなテーマを扱い、シリーズ全体の発行部数は2000万部を超えている。
同シリーズについては、ブロガー・投資家の山本一郎氏、記者・編集者の漆原直行氏、編集者の中川淳一郎氏の共著『読書で賢く生きる。』の中川氏担当部分で以下の記述がある。
〈子供向けだからとバカにするなかれ。これは本心から言うのだが、私自身、現在の基礎的な知識はこの「ひみつシリーズ」から学んだとしか思えないのである(中略)〉それらの知識は今でもコマに描かれたイラストとともにハッキリと思い出すことができる〉
このように、別方面からも「学習に役立った」という声がある。「ひみつシリーズ」は現在のアラフォー世代にとってはまさに知識の基礎となった側面もあるようだが、では、今どのシリーズが注目を集めているのだろうか。それは、韓国の出版社が販売している科学漫画の『サバイバルシリーズ』だ。主人公たちがさまざまなピンチを乗り切り、サバイバルしていく内容で、ハラハラドキドキなストーリーが子どもたちの心をわしづかみにしている。全世界での発行部数は2000万部を超え、日本でも発行部数400万部を突破した。
また、学習まんがの新種ともいえるシリーズも登場している。旺文社からこの夏発売されたばかりの『学校では教えてくれない大切なこと』シリーズだ。
同シリーズは、「整理整頓」「友だち関係」「お金のこと」など、子どもが成長していくうえで欠かせないことをテーマにしている。いわゆる子ども向けの実用書だ。親や教師が教えづらいことをテーマに、子どもが楽しく読み進められるよう細かな工夫もされている。
例えば整理整頓編であれば「勉強する気になる机って?」や「本を手に取りたくなる本棚」のような、いわゆる「ライフハック」的なトピックも並ぶ。
学習まんがが誕生して50年。紹介した作品以外に多くのシリーズが発売されており、大人が読んでも楽しめるものも多い。大人であってもあまり知らないジャンルについては、今更ながら学習まんがを読んでみても良いかもしれない。