作家・池井戸潤氏の直木賞受賞作が原作の連続ドラマ『下町ロケット』(TBS系列/毎週日曜21時~)が放送中だが、ドラマの撮影と並行して、もうひとつの大きな“計画”が進行していた──。
池井戸氏が書き下ろした『下町ロケット』の続編が、ドラマ放映中の11月5日に発売されるのである。
しかもこの作品、ドラマの後半5話の原作になるという。大注目の新刊『下町ロケット2 ガウディ計画』の読み所を紹介しよう。
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国産ロケットのエンジン部品の開発により、倒産の危機を切り抜けてから数年──。佃製作所は、またしても窮地に立たされることになる。
量産を約束したはずの取引は試作品段階で打ち切られ、ロケットエンジンの開発では、NASA出身の社長が率いるライバル企業・サヤマ製作所とのコンペの話が持ち上がる。
そんな時、社長・佃航平の元にかつての部下から、ある医療機器の開発依頼が持ち込まれた。「ガウディ」と呼ばれるその医療機器が完成すれば、多くの心臓病患者、特に子どもの患者を救うことができるという。
しかし、実用化まで長い時間と多大なコストを要する医療機器の開発は、中小企業である佃製作所にとってあまりにもリスクが大きい。苦悩の末に佃が出した決断は……。
医療界に蔓延る様々な問題点や、地位や名誉に群がる者たちの妨害が立ち塞がるなか、佃製作所の新たな挑戦が始まった──。
また、この作品にはもうひとつ大きな“仕掛け”が施されている。実は毎週土日、朝日新聞に連載小説として掲載されているのである。
10月3日よりスタートしたこの連載は、単行本の発売前は試し読み版、発売後はハイライト版として読むことができる。また、ドラマが後半部分に差し掛かると、映像と同時に読み進めていく“臨場感”を楽しむこともできるというわけだ。
ドラマ、新聞、書籍が連動するという、これまでに例のない新たなメディアミックスが展開されている。
※週刊ポスト2015年10月30日号