今、ネット上で女優やタレントに容赦なく浴びせられる「劣化」という言葉をめぐって論争が起きている。「年を取った」と言われるより厳しく聞こえるこの表現。識者たちはどう考えるのか?
エッセイストの能町みね子さんによれば「『劣化』の対義語は『奇跡』」だというが、「劣化したといわれる女性」と「奇跡といわれる女性」の境界線はどこにあるのか。
ネットの書き込みを見ると、浜崎あゆみ(37才)や青田典子(48才)への劣化バッシングは多い。その理由を見ると、「肌にハリがない」「首に年齢が出ている」「腹まわりの肉がついている」など。
年齢が若くても容赦はない。佐々木希(27才)はまだ20代なのに「目のまわりのシワが増えた」「髪や肌にツヤやボリュームがない」という言われ様だ。
どんなに美しくても、過去と比べてささいな変化を指摘されて、観月ありさ(38才)は「二の腕の肉がオバサンくさい」などと騒がれている。
一方、誰もがうらやむ「奇跡組」の筆頭は石田ゆり子(46才)。「40超えとは思えぬ透明感」「年を取ると厚化粧でごまかす女性が多いが、この人は内側からキレイなんだろう」といった意見が。
永作博美(44才)や篠原涼子(42才)にも「奇跡」の称号が与えられている。
コラムニストの辛酸なめ子さんは「劣化」と「奇跡」の境界線は「お姫さま感」のありなしだという。
「苦労知らずで“お姫さまキャラ”全開の女性は劣化したとみなされない。森高さんはその典型です。
対して、しわが目立ってやせていると、何となく不幸そうで苦労しているイメージがつき、『劣化』と判定される。肌の脂分が足りず、カサカサして潤っていない女性も劣化イメージがつきやすい」
能町さんはこう見る。
「そもそも一般人や化粧っ気がなくしわを隠さないような芸能人には『あの人、劣化したよね』とは言いません。『いい年を重ねていてカッコイイ』となる。一方で、あらゆる技術を使って写真を“完璧”に仕上げたり、アンチエイジングに力を入れ、若さを保っているように見える芸能人こそ、劣化といわれやすいんです。
モデルの平子理沙さん(44才)が典型的ですが、女性の美に対してたゆまぬ努力している“女性”こそ、笑った瞬間のしわを指摘され、劣化といわれてしまう。美しさを磨こうとする人が、嫉妬心を持つ人にアラ探しされてしまうんでしょうね。
劣化バッシングのリスクを避けるには完璧な写真しか世に出さず、テレビの露出を極力抑えるしかないのかもしれません。ま、余計なお世話ですけどね(苦笑)」
※女性セブン2015年10月22・29日号