作家で演出家の鴻上尚史氏が司会を務めるNHK BSの人気番組『cool japan』。番組などで初めて知った「クール・ジャパン」な日本食について、鴻上氏が解説する。
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日本の「食」は文句なく世界に誇れるクールです。
和食の基本は昆布や鰹節などから取る出汁のうまみ。それが「umami」として『オックスフォード英語辞典』に掲載されました。甘味、酸味、塩味、苦味という味覚の「4大要素」がumamiを加えて「5大要素」になった。ユネスコの無形文化遺産に登録された和食ともども、日本人は鼻高々ですね。
見た目にも栄養にも気を遣う日本の弁当文化も外国人は大好き。中でも地域にちなんだ食材で作り、個性豊かにデザインされた駅弁は日本ならではです。新幹線に乗りながら駅弁を食べ、車窓から富士山が見えたりしたら、外国人は大喜び間違いなしです。
最近、「外国人の満足した日本食」でトップの寿司を脅かすのは、独自の発展を続けるラーメンです。欧米だけでなくアジアでも大人気ですが、音を立てて麺をすするのは世界で日本人だけ。外国人にとってこの音は「ガラスに爪を立てて引っ掻く音」に等しいほど、不快だそうです。
居酒屋人気も上々です。西洋世界では食事(レストラン)と酒(バー)の場が分かれているもの。レストランは最初に食べ物をすべてオーダーするけど、居酒屋はいつでも追加で頼めます。英国のパブはつまみが少ないけど、居酒屋は食事メニューの種類が多種多様なうえ、安くておいしい。ユーザー・フレンドリーで顧客の身になって考えられているのが人気の秘訣です。
※SAPIO2015年11月号