受験の失敗が原因で、引きこもりになってしまうケースは少なくないという──。49才の主婦・Kさんは、自分の息子の引きこもり体験を告白する。
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私には3人の息子がいます。上の2人は名門大学を出て、一流企業に勤める夫と同じような道を歩みましたが、三男は大学受験に失敗しました。唯一合格した滑り止めは、「そんな大学はクズだ!」と夫が激怒。浪人をさせて再チャレンジさせたのですが、翌年も不合格。三男は引きこもりになってしまいました。
部屋にいる息子に話しかけても返事がなく、携帯電話にも出ません。夫が叱るようにドア越しに呼び掛けると、庭になにかが落ちる大きな音がしました。下を見ると、参考書などの勉強道具が、窓から投げ捨てられていました。息子が家で暴れるようになったのは、それからです。壁や家具を壊すようになりました。
ある時、耐えかねた夫が、ドアを蹴破り、息子を部屋から引きずり出そうとしました。すると息子は、
「おれはクズだ。なんでこんな出来損いに産んだんだ! 生まれなきゃよかった!」
と叫びながら、夫に殴りかかってきたのです。そこではじめて夫は、息子を追いつめたのは自分だと気づいたようでした。
あざだらけの顔で「申し訳なかった」と頭を下げましたが、息子はさらに夫を殴り飛ばしたのです。壁に叩きつけられた夫は、頭から血を流しつつ、「殴りたいだけ殴れ。おれが悪かった」と謝り続けました。私は泣き崩れた息子を抱きしめ、救急車を呼びました。
その後、落ち着いた息子と、家族で話し合いをしました。息子のやりたかった夢などを聞きながら、息子とこうやって向き合ったのは、中学生以来だと気づきました。無精ひげが伸びて完全に大人の姿になった息子を見つめながら、改めて、自分たちがいかに三男をきちんと見ていなかったのか、反省させられました。これからは、息子の意思を尊重しながら、サポートしていくつもりです。
※女性セブン2015年11月5日号