日中両国をこれほど深く、かつフェアに見られる専門家はいない。社会学者エズラ・ヴォーゲル氏は、2度の日本滞在経験を持ち、1961年からは中国社会についてもリサーチしてきた。去る6月13日、城西大学創立50周年を記念して来日。「東アジア これからの50年」と題する特別講演を日本語でスピーチした。中国通として知られるヴォーゲル氏の見解とは。
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中国は何をやるべきかというと、一つは、国内の腐敗問題を抑えること。この問題は本当に大きく、激しいものです。中国国民は腐敗問題に対して非常に反発していて、それがずっと続いています。
今の習近平がやっていることは、ちょっとトウ小平のやり方から離れていると思います。トウ小平は対外戦略を推し進めるときに、かなり平和的に周囲と共同開発するという態度を取っていた。習近平は、もう少し強い態度を示したがっているようです、「我々中国は強いぞ」と。
もっとも中国の気持ちもわからなくはないのです。アヘン戦争以来、中国は弱かったし、他国は中国を攻撃してきた。
ところが現在、中国経済のGDPはアメリカを追い越すという時代になったのですから、「今までは多くの国が我々を馬鹿にしたけれど、我々は強いんだ」と、そういう気持ちになるのはむしろ自然なのかもしれません。しかしやはり中国はもう少し低姿勢になる必要があります。
全世界がそれを望んでいます。アメリカには同盟国がたくさんあります。ヨーロッパ、日本、東南アジア、あらゆるところが同盟国です。一方中国の同盟国はどこかと言うと、北朝鮮、カンボジア、パキスタンぐらいでしょうか。
もっと多くの国とうまくやっていくために、もう少し低姿勢になって、あまり積極的に多くの国を攻撃しないようにしたほうがいい。