大英博物館で行なわれた春画展が盛況となるなど、春画は海外では高い評価を受けている。日本でも春画展が開催中だが、その一方でいまだにタブー視されている面もある。カラーグラビアページで春画を掲載した『週刊文春』(10月8日号)について、発行元の文藝春秋が、「編集上の配慮を欠いた点があり、読者の皆様の信頼を裏切ることになった」として突如、「編集長の3か月休養」を発表した。
果たして春画を週刊誌に掲載することは是か非か。この問題について議論すべく、日本文学者のロバート・キャンベル氏に意見を求めた。
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私はアメリカを代表する者ではないですが、アメリカで春画を雑誌に掲載するのは難しいと思います。生殖器が露骨に描かれた絵を出すことは、アメリカの一般紙や総合誌といった媒体では難しいと思います。
実は、私の東大での授業でも、春画を取り上げ、学部生に教えています。ただし授業の事前には、「露骨な絵を見せます」と伝え、
「宗教的に、もしくは嗜好として不愉快に感じる人は、退出して構いません。こうした絵を見ない環境で育った人も、退出して構いません」
と伝えました。が、一人も出て行かず、淡々と授業を行ないました。3~4年生なので、皆20歳以上です。
春画の授業を行なうことで、江戸文化に対する理解が深まります。一緒に見たり、見せたりすることは、春画も他の資料と変わりはありません。春画そのものは、江戸文化を理解する資料、作品、芸術として非常に重要なものです。
しかし、雑誌で春画を扱うことはどうか。私自身は、それを良いとも悪いともいいません。が、雑誌はいつ誰が見るかわかりません。春画を掲載することで、不愉快に思う人もいると思います。その扱い方には、配慮が必要です。
※週刊ポスト2015年10月30日号