10月1日から7日、中国は国慶節(建国記念日)の大型連休で、多くの観光客が日本を訪れた。彼らの観光先は東京、大阪、福岡といった大都市はもちろんのこと、北海道、京都、奈良、金沢などの観光地や温泉地まで、中国人観光客が大挙した。
今年2月にも、春節(旧正月)の大型連休で大勢の中国人が日本を訪れる姿が報じられた。あっちもこっちも中国人! という状況は珍しくないのだ。2006年度には100万人以下で、2013年度までは常に150万人以下だった訪日中国人は、2015年度には300万人を超えるとみられている。
中国人観光客の多くは、富裕層と中産階級の人で、いわゆる“金持ち”とされてきたが、ジャーナリストで拓殖大学教授の富坂聰さんは、「ここ数年の増加を底上げしたのは、そうした層だけではない」と見ている。
「年収300万~400万円の人たちもかなりの数を占めます。その背景には、観光ビザの条件がだんだんと緩くなってきたことがあるでしょう。年収25万元(約450万円)以上でなければ取得できなかった観光ビザが、2010年には、“大手クレジットカード会社が発行しているゴールドカードを所有していること”か、“年収約6万元(約108万円)以上の収入があること”などと条件が変わり、それまで団体旅行のみだったのが、対象者の家族など単独での旅行も認められるようになりました。さらに2015年1月からは、有効期間中は何度でも日本に入国できる“数次ビザ”の発給条件が緩くなって、さらに旅行がしやすくなったのです」
日本を訪れる中国人たちが、家電量販店や薬局などで、家電や薬、菓子などを1人何台も何箱も購入する姿は“爆買い”と呼ばれる。日本国内における中国人の旅行消費額は、訪日外国人の3割を占め、トップに立つ。ルイ・ヴィトン、エルメスといった有名ブランド品が好まれるが、やはり人気が集まるのは“メイドインジャパン”の商品だ。ユニクロに代表される衣料品はもちろん、とりわけ家電は人気が高い。
また家電と並んで売れているのが、日本メーカーの医薬品や紙おむつ。中国国内メディアでは、冷却剤の「熱さまシート」(小林製薬)、液体絆創膏の「サカムケア」(小林製薬)、外皮用薬「ニノキュア」(小林製薬)、のど薬「龍角散」(龍角散)、頭痛薬「イブクイック」(エスエス製薬)などが、“日本に行ったら買うべき神薬12”と紹介され、おむつはこの春、一時品切れ状態になったほどだ。
※女性セブン2015年11月5日号