日本の女性の睡眠時間が減少している。総務省の調べによると、特に30代後半から50代にかけての平均睡眠時間が減少しているとされる。これから深まる秋の睡眠は特に要注意だと話すのは、作業療法士でベスリクリニック睡眠外来担当の菅原洋平さん。
「この時期は気温の変化に自律神経の切り替わりが追いつかず、寝つきが悪い、途中で起きるといった睡眠トラブルを抱えがちです。睡眠不足には多くのマイナス効果があるので、しっかり対策してぐっすり眠りましょう」(菅原さん)
就寝前にお風呂に入る習慣を持つ人は多いが、体を温めてすぐに眠るのは大間違いだと菅原さんは言う。
「深く眠るには体温が下がっている状態がベストなのですが、体がポカポカの状態で布団に入ると体温の低下が妨げられてしまいます。入浴で急に上がった体温を下げるにはある程度の時間が必要。入浴後、1時間おいてから就寝するのが理想です」(菅原さん)
水泳に水着が必要なように、睡眠時は部屋着よりパジャマが必須と言うのは快眠セラピストの三橋美穂さん。
「ポイントは、締めつけがなく、吸湿性がいいこと。冬のモコモコした部屋着は汗を吸わず、体温調整できません。靴下を履いて寝る人も多いですが、足先からの熱放散を妨げ、熱が体内にこもることで快眠に導かれないので、レッグウオーマーが効果的です」(三橋さん)
三橋さんは、「最近、眠れないんです」といった相談を多くされるという。
「事情を聞くと、“結婚して不眠になった”というかたが多い。相手のイビキや動きが気になり、眠りが浅くなるのです。このケースでは、スペースがあればシングルベッドを2台くっつけたり、布団は別々にするのがおすすめです」(三橋さん)
夫婦で話し合い、思い切って別々の寝室にするのもアリだといえそうだ。
また、夕食で一時的に体温を上げるとその後に体を冷やす作用が働き、安眠を招きやすい。
「これからの季節に最適なのは鍋料理です。特にエビやカキ、ホタテなどに含まれるアミノ酸・グリシンは体温を下げて睡眠の質を高めるとされます」(三橋さん)
同じく体を温める唐辛子や生姜も上手に使いたい。
さらに、おしゃべりをすることが睡眠につながるという。
「日中に人と話すと脳内伝達物質のセロトニンが分泌されます。セロトニンは夜になると快眠をもたらすメラトニンに変化します。日頃から人との活発な交流を心がけ、セロトニンをたくさん分泌しましょう」(菅原さん)
寝るためにお酒を飲む人もいるが、実は逆効果になる。
「眠気を誘うアルコールには覚醒効果があり、眠りが浅くなって体に負担がかかります」(菅原さん)
カフェインなどの嗜好品も要注意だ。
「コーヒー、緑茶、チョコレートなどに含まれるカフェインには4時間も続く覚醒作用があるので、できれば夕食後は控えること。飲むならホットミルクやホットジンジャーエールがおすすめ。たばこも1時間ほどの覚醒作用があるので、就寝1時間前から喫煙は控えましょう」(三橋さん)
※女性セブン2015年11月5日号