シニアにとって孫は何よりの生き甲斐、のはずが、世話を押しつけられ疲れ切ってしまう「孫疲れ」が密かに蔓延している。
高齢者世帯が、孫の世話をするうえでもう一つ問題になるのは、おカネだ。普段は質素に暮らしていても、孫が来るとなれば、テーマパークにも連れて行き、おもちゃの一つも買ってやり、ファミレスで食事でもしなければならない。62歳の元会社員男性が話す実例は壮絶だ。
「娘が3人いてそれぞれ4人産んだので、孫が12人もいる! 出産祝いに始まり、お宮詣り、七五三、入園入学祝い、お年玉、誕生日、クリスマスで年間50万円以上かかる。しかも今年の夏は『お盆玉』とかいう、お年玉の夏バージョンができてさらに出費が増えた。誰がこんなもの考えたんだ!?」
同様に祖父母をATMのように扱う息子・娘夫婦の例は枚挙にいとまがない。二人の孫がいる元会社員の男性(62歳)は、息子夫婦にも孫にも無性に腹が立った経験をこう話す。
「去年のクリスマスの前に孫が電話をかけてきて、『サンタさんにプレゼントは○○がいいとお願いしたんだ』と。上の子は8歳でサンタなどいないと知っているんです。息子夫婦がかけさせたと思うが、孫たちの演技力にも頭が下がる。
最近は入手困難なおもちゃを『欲しい』と電話してくる。妖怪ウォッチを買うために、発売日に家内と別々のスーパーに早朝から並んだこともある」
もう涙なしには語れない。
※週刊ポスト2015年10月30日号