10月23日に行われたプロ野球ドラフト会議。指名された選手たちの喜びの声のなかから、「大人力のあるコメント」を大人力コラムニストの石原壮一郎氏が選んだ。
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夢と希望に満ちあふれている若者の姿は、見ていて気持ちのいいものです。そんな若者を大量に生み出したのが、10月23日に行なわれた「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」。指名されたのは、12球団合わせて88人。育成選手で指名された28人も含めて、116人がプロ野球への切符を手に入れています。
指名された多くの選手が、記者会見などで喜びや抱負を語りました。報じられているコメントは、ほとんどが「子どものころからの夢がかなって嬉しい」「監督やチームメイトに感謝している」といったお決まりのフレーズ。それはそれで、ウカツなことを言って叩かれないようにする用心深さとか、いろんな人の顔を立てておく配慮など、プロ野球選手になる上で大切な「守りの大人力」が発揮されていると言えるでしょう。
しかし、それだけでは十分とは言えません。プロの世界は他人から頭ひとつ抜け出てナンボだし、ファンをワクワクさせるサービス精神も必要です。そんな見地に立ちつつ、ドラフト1位で指名された12選手の中から、プロとしての将来性を感じさせてくれる「攻めの大人力」にあふれたコメントをしたトップ3を勝手に選んでみました。
まずは3位から。ヤクルトが交渉権を獲得したかと思ったら、真中監督の勘違いで、じつは阪神が交渉権を獲得していた高山俊(明治大)。そんな大どんでん返しがあったあとの第一声は「何が起こるか分からないのがドラフト会議。1位で指名されるのをうれしく思う」でした。思わぬアクシデントをさっそくネタにしているところに、たくましさやウイットを感じます。やがてお立ち台でも、このテイストを発揮してくれるでしょう。
続いての2位は、DeNAから1位指名を受けた今永昇太(駒沢大)。記者からの「ラミレス監督からファンサービスを求められたら?」という質問に対し、こう言い切って場内の爆笑を誘いました。
「パフォーマンスに関しては、えー、……自信があるので。これから鍛えていきたいです」
なんとワクワクするセリフでしょう。ラミレス新監督とコンビを組んで、どんどん暴れてほしいものです。まあ、まずは野球で活躍しないとそれどころじゃありませんが。