中国の首都、北京市の副市長に王寧・同市西城区長が選出されたが、王氏は2008年の北京五輪の総責任者だった当時の習近平・国家副主席の補佐役として、五輪を成功に導いた功労者の一人。習氏がその手腕を評価し、習氏の秘蔵っ子として知られる人物。習氏は最近、自身の腹心らを幹部に登用し「習近平閥」を形成しており、王氏も今後の若手幹部のホープとして重用されていくとみられる。
王氏は1960年12月、山西省で生まれ、現在54歳。中国共産党には1987年2月に入党しており、1960年以降に生まれた、いわゆる「60後」世代の先駆け。
王氏は北京大学の経済学院で金融を専攻し、修士課程を修了。北京の師範大学で教師を務めたあと、中国共産主義青年団(共青団)の北京市委員会副書記などを経て、北京市政府体育局党書記に就任。
その際、党副主席だった習氏が北京五輪担当となり、プロジェクトチームを結成。王氏もチームの一員に選ばれ、開会式と閉会式を担当した。
王氏の仕切りなどが見事だったことから、習氏は「王君がいなければ、開会式や閉会式はこれほど素晴らしくできなかっただろう」などと絶賛したという。
王氏は五輪を機に、習氏から目をかけられ、北京市内の中心部にある宣武区や西城区の党委書記に抜擢された。
習氏は西城区を3回視察したが、同じく区を3回も視察するのは例がなく、3回とも王氏が視察に同行したことをみても王氏は習氏の大のお気に入りであることが分かる。
また、王氏は今年の全国の優秀な県委書記ベスト100人にも選ばれるなど、出世街道を歩み、10月の北京市人民代表大会(議会に相当)で副市長に選出された。
北京市の地元紙「新京報」によると、習氏が王氏を評価しているのは、その清廉さで、汚職には全く縁がないところ。夫人を昨年、病気で亡くしているが、子供はおらず、仕事一筋なところも、習氏の評価する点だという。
『習近平の正体』や『習近平の「反日」作戦』の著書があるジャーナリストの相馬勝氏は「王氏のほど習近平の評価が高い若手幹部はいない。今後、よほどのスキャンダルに巻き込まれない限り、間違いなく政治局員程度にはなるのではないか」と指摘する。