日本で報じられることはほとんどないが、中国と韓国のメディアはしばしば衝突している。
〈全世界に成長をもたらしてきた中国が最近は「恐怖」を輸出している……中国の輸出品目に「混沌」を追加したのは中国政府だ〉
これは、中国経済に関する「朝鮮日報」コラムの一節(9月9日付)。厳しい批判は先の戦勝記念パレードに触れた同紙社説にも見られる。
〈(中国は)状況が変わればいくらでも平気で態度を変える国であり、我々は何度もそのような現実を目にしてきた〉(同日付)、〈我々が朝鮮戦争を終えて統一を成し遂げられなかったのは、中国共産党軍の参戦のせいである〉(同4日付)と、積年の不信や不満を露わにする。
一方、中国の主要メディアにも、韓国への中傷的な記事が書かれることがある。〈韓国人女性がアゴ整形のやりすぎでむしろブスに〉(「環球網」2014年1月29日付)など、見出しからして皮肉たっぷりだ。あからさまに侮蔑の言葉を掲げる記事まである。
〈高麗棒子にはスポーツ精神がない〉(「北晩新視覚」2015年5月18日付)
「棒子」は韓国人に対する蔑称。かつての満州国で、朝鮮人警察官が警棒を使い横暴を働いたことに由来し、「棒切れ野郎」というニュアンスだ。これはサッカーのAFCチャンピオンズリーグで両国のクラブチームが対戦する前日の記事。いくら“戦意高揚”のためとはいえ、品がない。
さらに、「活版印刷」「孔子」「漢字」などの韓国「ウリジナル(起源は我々)」主張に対しては怒り心頭だ。
〈この2年ほどで韓国人は次々と中国の歴史や文化に対して“挑戦”しようとしている……韓国人がわずかなスキを見つけてどんどん踏み込んでくる様子を見ると、怒りを感じずにはいられない〉(「海外網」2015年3月30日付)
隣国であるがゆえの複雑な心情が筆を走らせるのか。
※SAPIO2015年11月号