「黒い霧事件」の再来か──巨人・福田聡志投手(32)が野球賭博に関与していたとして球団から告発を受け、調査を行なっている日本野球機構(NPB)の調査委員会が、新たに巨人の笠原将生投手(24)と松本竜也投手(22)が関与していたことを発表した。福田と笠原は野球賭博に加え、バカラや麻雀でも賭けをやっていたという。
球界を蝕む野球賭事件は、静かに、だが確実に広がり始めている。この会見が行なわれた前日深夜にはこんな情報が出回り、スポーツマスコミが騒然とする出来事があった。
「セ・リーグ某球団の大物コーチが、野球賭博に関与しているという情報です。しかもコーチだけではなく、球団職員も関与しているとの話で、すでにその球団には調査が入り、内部が大わらわになっているとのことだった」(スポーツジャーナリスト)
そのコーチは、現役時代はパ・リーグの球団で活躍。指導力はもちろんながら、独自の人脈を持ち、監督からも絶大な信頼を得ている人物だ。ちなみに職員も元選手で、同じくパ・リーグ球団で活躍した過去を持ち、コーチを経た後、現在は球団の要職にある。
情報は瞬く間に駆け巡り、各社とも確認に追われることとなった。というのも、コーチが野球賭博に関与していたとなると、選手の時とはまったく違った大きな問題となる可能性があるからだ。それは野球賭博に絡む八百長の疑惑──つまり「平成の黒い霧事件」への発展である。
野球は競技の特性上、選手主導での八百長は容易なことではない。本誌前号では「黒い霧事件」当時の本誌記事を抜粋し、八百長を暴露した永易将之氏の証言を掲載したが、その永易氏も「八百長を3回試みて成功したのは1回」と語っていた。その時、こんなことを呟いていたという。
「打たせようと思って棒球を投げても、相手にとってはかえって打ちづらくなり、ドン詰まりになって打ち取ってしまうということもあった。八百長と一言でいっても成功させるのは難しい」
だがコーチや監督など、選手起用を含めた采配に影響力を持つ立場の人が関与すれば話は別だ。
「例えば調子の悪い投手をあえて起用したり、交代させずにやけに引っ張って投げさせ続けたり。他にも、ヒットの出ていない野手をスタメンや代打に起用することで勝敗に関与することができる。起用の理由は後付けで何とでもなりますからね」(前出のジャーナリスト)
本稿締め切り時点までに、そのコーチ及び職員に関する発表はない。だが、「いつ明るみに出てもおかしくない」(同前)
※週刊ポスト2015年11月6日号