あの長嶋茂雄氏をして「21世紀のスター」といわしめ、入団時から輝かしいキャリアを積み上げてきた巨人・高橋由伸(40)。将来的に巨人の監督になることは、自他共に認めるところだっただろう。しかしその時は、あまりにも急に訪れた。
23日に監督就任要請受諾が発表されたが、球団から正式に次期監督の要請を受けた直後、20日の会見では、高橋は揺れる心情を隠すことはなかった。
「光栄だが、戸惑いがある。来季に向けて選手として気持ちを切り替えていたところだったので、驚いている。まだまだ(現役で)できるのではないかという思いもある」
4連覇が絶望となった9月以降、巨人の次期監督問題はたびたび話題にのぼってきた。だがこの時点で球団の方針は、「高橋一本」に絞られた。
しかし反発は予想以上に大きかった。重鎮OBからは疑問を呈する声が出ている。広岡達朗氏はその急先鋒だ。
「一体何を考えているのか。球団が普段からコーチや監督を育てる努力をしていないから慌てることになるのです。巨人のやることは他の11球団が真似をする。巨人の監督というのは球界全体に影響力を持つから、務める人物は一番の器が求められる。それだけ重要な人事をこんな軽率に決めるなど、言語道断です」
ファンからも戸惑いの声が上がった。
「主力が衰えた今のチームを率いさせるのは可哀想」
「現役でやる気なのに、球団の都合で引退させようとしていることに腹が立つ」
「由伸を雑に扱ったら、ファンが本気で怒ることを巨人はわかっているのか」
※週刊ポスト2015年11月6日号