埼玉県警が大失態を演じた。9月13日に一度身柄を確保したペルー人男性が任意聴取中に逃走。男性はその後、14日に3人、16日に3人の計6人を殺害したとみられている。
捜査員が気を緩めなければ凄惨な事件は起きなかった。職務上の重大ミスが起きる背景には、警察官の質、モラルの低下があるのではないか。
例えば大阪では、府警箕面署刑事課の巡査部長(36)と元警察官の男性(32)が、知人女性をホテルに監禁して集団暴行した容疑で逮捕された(9月7日報道)。インターネットのアダルトサイトに「超ハード調教輪姦企画」と書き込んで仲間を募集し、目隠しした女性を約7時間にわたって複数で暴行していた。
これは氷山の一角に過ぎない。「まさか警察官がこんなことを」と、耳を疑うような不祥事が全国で頻発している。
警察庁によると、昨年1年間の警察官の懲戒処分者数は300人。処分理由の内訳では、セクハラを含む異性関係が80人と最多を占めた。逮捕された警察官は71人で、こちらも罪状は痴漢や盗撮などのわいせつ行為が33人と実に半数近くに上っている。
今年上半期(1~6月)でもすでに132人が懲戒処分を受けている。が、警察庁資料ではそれぞれの不祥事の詳細は明らかにされていない。
そこで本誌は警視庁及び、政令指定都市を含む16道府県警を対象に、2014年4月から今年6月までの懲戒処分事例を取材。計244人分に及ぶ不祥事の内容を記した「処分説明書」などの文書を入手した。
本誌の調査を分析した結果でも、目につくのは警察官の「性の乱れ」だった。電車内での痴漢などわいせつ行為が32人、スマホの普及で増加傾向にある盗撮が17人、女性警察官に対するセクハラ17人と計66人がわいせつ関係で処分理由の最多を占めている。他にも不倫などの不適切交際9人、ストーカー3人など異性関係でも処分を受けている。
わいせつ以外にもある。飲酒運転などの道交法違反45人、職場のロッカーから同僚の金品を盗むなど窃盗が32人、捜査書類の紛失や破棄12人などが主なものだ。
※週刊ポスト2015年11月6日号